100台の仮想サーバーを災害発生から2時間で復旧
それでは、仮想化環境のバックアップ/ディザスタリカバリはどのように行えばいいのだろうか。渋屋氏は、機器故障などの「筐体障害」、ビル停電・空調障害などの「施設障害」、テロや広域火災などの「局地災害」、地震や台風などの「自然災害」と、災害を発生確率や広域性などから4つに分類して説明した。
想定される災害と必要な対策の関係。グラフは縦軸が広域性、横軸が発生確率となっている |
施設障害や筐体障害時における仮想化環境のバックアップ方法として紹介したのは、EMCのバックアップソフト「AVAMAR」を活用したソリューションだ。AVAMARではデータの重複除外に対応し、同じデータを2回バックアップすることがないため、「ネットワーク帯域に負荷をかけず、またバックアップ時間も短縮できる」という。
AVAMARを使用した仮想化環境のバックアップ事例の1つ |
自然災害や局地災害などの大規模災害への対策としては、データセンターそのもののバックアップ/ディザスタリカバリも考慮する必要が生じる。そこでネットワンが現在提供するのは、バックアップ用のデータセンターを用意する「Active/Standby仮想データセンターソリューション」だ。通常時はプライマリのデータセンターで仮想サーバーを動かし、災害時には待機していたバックアップデータセンターに移行する。
ネットワンが提案する「Active/Standby仮想データセンターソリューション」 |
ネットワンのソリューションの特徴の1つは、ロードバランサのGlobal Server Load Balancing機能を利用している点だ。これによりIPルーティングを使った仕組みなどよりも、切り替え時間を高速化できるという。また、「VMware Site Recovery Manager」の活用により、数クリックで復旧作業が完了するとのこと。実際にどれくらいで復旧できるかだが、渋屋氏はおおよそのイメージとして、「例えば東京で稼動する100台程度の仮想サーバーを、災害発生から約2時間で、災害発生の4時間前のデータに大阪で復旧することができる」と説明した。
通常時にただ待機しているのではなく、常にすべてのデータセンターが稼動する「Active/Active仮想データセンターソリューション」の提供も今期中に始める予定だという。
また、「何からやるべきなのか、コストはどれくらいかけるべきのか、悩んでいる企業や自治体は多い」(ネットワンの櫻井伸仁氏)ことから、同社ではBCPのコンサルティングサービスも提供している。用意するメニューは、目標復旧時間に基づいたギャップ分析を行う「ICT-BCT診断サービス」と、その現状診断の結果を基に対策の優先順位の決定支援や対応計画・復旧手段などの策定を行う「ICT-BCP策定サービス」の2つである。必要な期間は、前者がおよそ4カ月、後者は1カ月~1カ月半が標準的だという。
ネットワンのBCPコンサルティングサービスの概要 |