凸版印刷は2023年6月27日、5Gで使用する波長1~10mmの電波を所望の方向に反射させる「ミリ波反射シート」を開発したと発表した。
遮蔽物により通信エリアが制限されている室内(左)と
反射シートにより通信エリアが拡大した室内(右)イメージ図
今回開発したミリ波反射シートは、メタサーフェス構造(※)を有する軽量でフレキシブルなシートで、ミリ波帯の電波を所望の方向へ反射させることができる。そのため、電波が届かない不感地帯の高速・多数同時接続を可能にする。
※ メタサーフェス構造:波長より小さい構造体を周期配置して任意の誘電率・透磁率を実現する人工媒質(メタマテリアル)の一種で、構造体の周期を二次元配置した人工表面
また、ミリ波反射構造を有しながら、内装用化粧シートと同等の薄さ、軽さ、フレキシブル性を実現。木目調や大理石調など反射シートの表面への意匠性の付与に優れており、オフィスや工場建屋の室内用壁紙として使用することができる。
意匠性を付与した反射シート(左)と壁紙として使用した活用例(右)
凸版印刷は今後、5G関連企業などと連携し、電波反射シートや吸収シートなどの軽量・薄膜で意匠性のある電波環境改善部材を活用し、電波に関するシミュレーションと電波計測をはじめとする空間設計技術を確立。また、無線エリア向けソリューションを5Gユーザーに提供し、5Gの普及に向け、安全安心な高速通信環境を実現するとしている。