「当社のsXGPは“置きポン”ができる」
Baicells Japan取締役 副社長の徳富涼氏は、同社ソリューションの特徴を端的にこう語る。“置きポン”というのは、細かな置局設計を行わずとも、基地局を自由に置くだけでも干渉のない通信が実現するという意味だ。
Baicells Japan 取締役 副社長 徳富涼氏
sXGPは病院などの構内PHSの代替手段として関心を集めている。徳富氏によれば、PHSは干渉を検知すると自動でチャンネルを変更して送信するため、置局は難しくなかったという。
しかし、LTEにはそうした機能はない上、プライベートLTEであるsXGPの帯域は1.9GHz帯の5MHzのため、電波干渉を避けるには緻密なエリア設計が欠かせなかった。また、TD-LTE方式を採用するsXGPは、タイミング同期を行うGPS配線が各基地局に必要であり、これも置局を難しくしていた。
Baicells Japanは、独自の「C-RAN」ソリューションでこの問題を解決した。CとはCentralizedの頭文字で、基地局制御部を集中設置する無線ネットワークアーキテクチャーを表す。
C-RANの構成を図表に示す。BBU(Baseband Unit)と呼ぶコントローラーが基地局の制御部となる。1台のBBUはハブを2台まで、ハブは1台につき無線送受信装置であるRRU(Remote Radio Unit)を8台まで接続できる。BBUの集中制御により、配下最大16台のRRUで1つのセルを作る。これにより、RRU同士が干渉せず自由な置局を可能にした。
また、GPS配線はBBUのみでよく、配線数を大幅に削減できる。
すでに800床、1000ユーザー規模の病院での導入実績がある。従来の一体型基地局では不可能だった、干渉のない広範囲のエリア構築をC-RANで実現した。
図表 Baicells sXGP C-RANソリューション システム構成と特徴
VoLTEで100%着信保証
もう1つの特徴はVoLTEによる“電話品質”の通話だ。広い音域を扱えるため音声がクリアな上、優先制御・帯域確保のQoS保証の仕組みがあり、他のデータ通信より優先的に制御される。
通話に使用するのはスマホ標準の電話アプリなので、操作に戸惑うことや面倒な設定の必要などはない。端末でどんな操作をしていても必ず割り込むので、VoIPアプリで起きがちな、着信時のトラブルや他のアプリと競合する心配も不要だ。通話終了後は自動的に元のアプリの動作が再開する。
複数メーカーのPBXやナースコール装置との接続を確認しており、既存設備からの移行がスムーズな点も利点だ。既存の自営PHSを運用しながらの段階的な移行にも対応する。
「通話はsXGP、データ通信はWi-Fiという併用を提案したい」と徳富氏は呼びかける。LTE基地局開発のエキスパートであるBaicells Japanは、sXGPの強みを最大限生かすことができる。
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