Beyond 5G/6G時代、超低遅延かつ高速大容量の通信が求められる。KDDI総合研究所のブースでは、そんなBeyond 5G/6G時代に向けた様々な取り組みを紹介している。
とりわけ目を引くのは、「仮想化端末」を用いた上り通信の大容量化だ。ここで言う仮想化端末とは、「スマートフォンなどのユーザー端末とその周辺にある複数のデバイスに搭載されたアンテナを仮想的に束ね、一つの端末として動かす」(説明員)ものだ。ユーザー端末から複数のデバイスへテラヘルツ帯の信号をマルチビームアンテナで送信。デバイスはテラヘルツ帯の信号をミリ波に変換し、基地局へ中継するという。
受信マルチビームレンズアンテナ
現時点では実証段階だが、Beyond 5G時代に求められる100Gbpsの実現を目指すという。
ユーザーセントリックRANで通信安定化
ブースでは、実世界を仮想空間に再現する「デジタルツイン」を見据えた取り組みも紹介されている。具体的には、多数の基地局を連携させ、ユーザー専用の通信エリアを構築する「ユーザーセントリックRAN」の開発だ。
同社は2023年2月21日から5月12日の間、このユーザーセントリックRANを用い、基地局から複数のスマートフォン方向へのデータ通信実証実験に成功している。実証実験では「セルフリー方式」を採用している。セルフリー方式では、分散配置された基地局をMassive MIMO技術を用いて連携することができるため、基地局間の干渉が起こらず、通信速度が安定するという。
セルフリー方式によって通信速度が改善
2030年頃には、このセルフリー方式で「いつでもどこでも無線品質を確保できる世界を目指す」(説明員)という。
このほか、相手の位置や向きを体感できる3D音場合成や点群圧縮を用いたパフォーマンスショーのリアルタイム伝送に関する展示など、体験型の展示も目白押しだ。