英調査会社のOmdiaは2023年5月22日、スマートフォン市場動向に関するメディアラウンドテーブルを開催した。今回は、デバイス/5G/ディスプレイの3つのカテゴリから見たスマートフォン市場動向の解説があった。
まず1つ目のデバイスについて、OmdiaシニアリサーチマネージャーのJusy Hong氏から説明があった。世界のスマートフォン出荷台数は2017年から右肩下がりの傾向にあり、2023年の出荷予測台数は11億7000万台と、対前年マイナス3%落ち込むと同社は予測している。スマートフォン市場の中で大きなウェイトを占める中国市場の出荷台数減少が大きな原因だという。
世界のスマートフォン出荷台数予測
中国市場縮小の理由の1つとして、Hong氏はデュアルSIMカードの普及を挙げた。「プライベート用とビジネス用で2台持ちしていた人々が、デュアルSIMによって1台で済むようになった」(Hong氏)。また、スマートフォンの高性能化や修理市場の拡大により、代替サイクルが長期化していることも一因だという。
ただ同社は、来年以降のスマートフォン市場の回復を想定している。Hong氏曰く、「新興国の人口増加に伴い、新しいスマートフォンの需要が見込まれる」。
近年中国で人気が高まっている「折りたたみスマートフォン」の市場動向についての解説もあった。
折りたたみスマートフォンの出荷台数は年々増加傾向にあるが、全体のスマートフォン出荷台数を占める割合は、現時点で2%程度に留まり、「ニッチな立ち位置が続く」とHong氏。ただ2028年には折りたたみスマートフォンの出荷台数は約3倍まで飛躍すると同社は予測。「中国のOEMメーカーやグーグルが参入し、市場規模は大きくなる」(Hong氏)
折りたたみスマートフォンの出荷台数予測
続いて、同社 リサーチアナリストのMaosen Xia氏から、5G市場動向に関するプレゼンが行われた。
2022年時点での日本における5G契約数は、全携帯契約数の約20%を占めるという。2025年には50%を超え、2027年には約70%まで上昇すると同社は見込んでいる。
日本の5G契約数予測
「5Gパフォーマンスが向上すれば、5Gの可能性を切り開くデバイスも生まれてくる。デバイスのパフォーマンスが向上すれば、ユーザーが5Gの魅力を楽しめる環境が進んでいくだろう」と、Xia氏は語った。
また、政府による通信料値下げ政策により、各キャリアから月額2000円代の低料金プランが打ち出されているが、5Gデバイスの価格も下がってきているという。Xia氏は、「よりユーザーが5Gを手に取りやすい方向性に向かっていくはずだ」と話した。