徳島県神山町の人口は4846人(今年1月現在)で、10年前と比べて約2割減少した。高齢者の比率は50%を超え、死亡数から出生数を引いた「自然減」は年間平均120人ほど。国からは過疎地域の指定を受ける。
徳島県中部に位置する神山町。東京からは、飛行機と車を乗り継いで約3時間。1000m級の山々に囲まれ、豊かな自然に恵まれている
しかし、神山町を「典型的な過疎地」と呼ぶわけにはいかない。
名刺管理サービスのSansanをはじめ十数社がサテライトオフィスを神山町に構える。また、国内外のアーティスト数名が町に滞在しながら作品を制作し、展覧会を開く「神山アーティスト・イン・レジデンス」は1999年から続く。
豊かな自然や文化などに惹かれ、移住する人も増加傾向にあり、転入・転出による人口増減は、2019年度と2020年度にプラスを記録した。
こうした神山町の魅力づくりを下支えしてきたのが、町自ら整備した光ファイバー網だ。光ファイバー網があったからこそ、サテライトオフィスは集まったし、アーティスト・イン・レジデンスは世界に向けて情報発信できた。
ただ、神山町役場 総務課 企画調整係 課長補佐の杼谷学氏はこう言う。「そうした期待を最初から持って、光ファイバーを整備したわけでは全然なかった。サテライトオフィスやアーティスト・イン・レジデンスなどの活動と交わりながら、結果的にいろいろなことがスピンアウトしてきたのが、これまでの神山町のストーリー」
神山町役場 総務課 企画調整係 課長補佐 杼谷学氏
そして今、また新たなストーリーが動き出している。