ヒバラコーポレーションとNTT東日本 茨城支店は2023年1月13日、熟練工の技術を再現する塗装ロボットを遠隔で動かすプログラムの送信テストを実施したと発表した。2022年7月から同年11月末に、AI・IoT関連技術の共同実証が可能なNTT東日本のエッジコンピューティング環境「スマートイノベーションラボ」で行った。
発表によれば、多くの製造メーカーが自前の塗装部門を持つなかで、その多くが人材不足や技術ノウハウの伝承に起因する品質の不安定化やコスト増の課題を抱えているという。
今回の実証は、ヒバラコーポレーションの工業塗装技術とNTT東日本のエッジコンピューティングをかけあわせることで、工業塗装における上記の課題解決に取り組むものだ。ロボット遠隔塗装の実現に向けた検証の第１弾として、塗装対象物（ワーク）の AI 画像認識による判定をエッジコンピューティングを用いて行った。
ヒバラコーポレーションが、ロボットによる塗装プログラムと塗装対象物を判定するプログラムを開発。NTT東日本がエッジコンピューティングを提供とともにネットワーク環境を構築し、次の3つを実施した。
① コンベアを流れる塗装対象物（ワーク）を撮影し、画像データをサーバへ送信
② サーバにて塗装対象物（ワーク）を判定し、塗装現場へ結果をフィードバック
③ 塗装対象物（ワーク）に対応したプログラムを起動し、ロボットが対象物を塗装
実証環境の構成イメージ
コンベアを流れる43製品の塗装対象物（ワーク）を予め撮影して、AI学習データを作成。1対象物あたりの学習用画像数は30～50枚で、AI学習にかかった時間は約1時間。判定正答率は100%だった。
AI学習用画像と判定結果
検証の結果、サーバーへの画像送信から判定、結果送信までの合計処理時間は0.5秒以下となり、ロボット遠隔塗装ソリューション構築に適するという結論を得たという。ヒバラコーポレーションは今回得られた知見から、エッジコンピューティングを活用したロボット遠隔塗装ソリューションの提供に向けてさらなる検証を進めるとしている。
