企業コミュニケーションはUC as a Serviceの時代へ
――かつて企業コミュニケーションのツールというと、電話、FAX、電子メールぐらいに限られていましたが、現在ではWeb会議や社内SNSなど非常に多様化しています。また、オンプレミス以外にクラウドという選択肢もあります。これからのコミュニケーションインフラをどう構築していけばいいのか、多くのユーザー企業が悩んでいると聞きますが、どうお考えですか。
田崎 非常に難しい問題ですね。電話やテレビ会議などは広い意味でユニファイドコミュニケーション(UC)の1コンポーネントと捉えられますが、現在の技術ではこれらすべてが連携するインフラを実現できます。しかし、最初から大仰に全部統合しようと考える必要はないと思います。例えば、まずはWeb会議だけを使っていくという形でいいのではないでしょうか。ただその一方で、次々と新しいコミュニケーションツールを導入していくと、結局、何も連携できないという事態も起こり得ます。ですから、連携・統合するうえでの技術的課題なども考慮しながら選択していくというのが、今の時点での答えだと思います。
その意味では、オンプレミスではなく、クラウドサービスのほうが、コストの点でも技術的なリスクの点でも無理がないといえます。ガートナーではUC as a Serviceという言い方もしていますが、サービス型が選ばれる傾向は今後さらに強まっていくでしょう。
――Skypeについては、どう見ていますか。最近、アバイアやKDDIとも提携しましたし、企業での利用も着実に増えているようです。
田崎 スカイプには依然いろいろなリスクがありますが、それを理解したうえであれば十分使えるというのが現在のガートナーの見解です。
――以前の見解とは変わったのですか。
田崎 ええ、以前は「よほどのことがないかぎり、スカイプは利用すべきではない」という言い方をしていましたから変わりました。もちろん今でもスカイプの仕組みそのものはオープンになっておらず、何か問題があったとき、どのような対応がなされるのか分からないなどのリスクがあります。ただ、そうした前提を踏まえたうえであれば、メリットがあるところで積極的に利用していいと考えています。