今年5月、電波法施行規則等の一部改正により、「空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム」が解禁された。
送電アンテナから放射した電波を受電アンテナで受信し、電力を生成することで10m以上先のセンサーやデバイスに給電を行う空間伝送型ワイヤレス電力伝送システムが制度化されるのは、世界初となる。
総務省は同システム向けの周波数として920MHz帯、2.4GHz帯、5.7GHz帯の3つの帯域を割り当てており、段階的に規制緩和する方針だ。今回は第1ステップとして、920MHz帯は屋内の有人環境、2.4/5.7GHz帯は屋内の無人環境での利用が認められる(図表1)。
図表1 制度化第1ステップの概要
このうち920MHz帯を使ったシステムは、有人環境で利用できるため用途が幅広くあるほか、同じ周波数帯のRFIDを開発している企業にとっては装置や技術を応用可能で開発が容易であることから、開発が先行している。
そうしたなか、京都大学が100%出資する京都大学イノベーションキャピタルの支援を受けて2019年に設立されたスタートアップSpace Power Technologies(スペースパワーテクノロジーズ)は、5.7GHz帯を用いたシステム「POWER GATE」を開発し、実用化を間近に控える。