「日本にとって一番の課題となるのは、『これをやっていくぞ』と決心できる人がいるかいないか、不確定なことを決断できる人が少ないことかもしれない」
ガートナージャパンは10月31日、「2023年の戦略的テクノロジのトップ・トレンド」に関する記者説明会を開催。バイスプレジデントの池田武史氏は日本の課題をこう語った。
ガートナージャパン リサーチ&アドバイザリ部門
バイスプレジデント、アナリスト 池田武史氏
ガートナーが毎年発表している戦略的テクノロジのトップ・トレンドとは、今後5年以内にビジネスに破壊的な影響を及ぼすイノベーションの土台となるテクノロジのことだ。
2023年のトップ・トレンドには、以下の10個のテクノロジが選ばれた。最後の「持続可能なテクノロジ」を除き、コスト節約を実現するための「最適化(Optimize)」、ビジネスを成長させるための「拡張(Scale)」、新しい市場を切り拓くための「変革(Pioneer)」の3つ切り口で整理されている。
「『全部やってください』という話ではない。ただ、この10個のテクノロジのどれもやらない、という企業には『本当に大丈夫ですか』と言いたくなる」と池田氏は話した。
2023年の戦略的テクノロジのトップ・トレンド
リアルとデジタルを橋渡しする最後の空間
では、いくつか紹介していこう。
まずは「オブザーバビリティの応用」だ。ネットワーク運用をはじめ、ICTシステムの世界で最近注目が高まるオブザーバビリティ(可観測性)。「システムの出力を観察することで、内部状態を測定する」能力や仕組みなどを指すが、「ビジネスそのものをシステムと見なし、その出力を観察することでビジネスの最適化を図っていく」のがオブザーバビリティの応用だという。
運転中のドライバーの動きを観察して自動車保険に活用するテスラなどが、その具体例として挙げられた。