韓国モバイルビジネス動向ウォッチ[第4回]サムスンが仕掛けたNFCモバイル決済標準化への道

モバイル先進国、韓国をウォッチしながら、新しいモバイル関連ビジネスの種を見つけていく本連載。今回のテーマはNFCだ。

グローバル標準へ舵を切り始めた日本の携帯電話事業者

これまで日本でもNFCの検証は水面下で行われてきたが、現在までのところ本格導入には至っていない。しかしながら、Nexus SのNFC標準搭載の発表を受け、事態は急展開を見せ始めたと言っていいだろう。2月9日、NTTドコモはKTと、KDDIとソフトバンクモバイルはSKテレコム等とNFCの共同検証を実施すると発表した。

2月14日~17日にバルセロナで開催された「Mobile World Congress 2011」でも、ドコモはNFCへの移行ロードマップを紹介していた。現在、ドコモの端末内には、無線通信を行うFeliCa RFチップと暗号化や鍵情報を格納するFeliCa SE(Secure Element)が搭載されている。ドコモは移行の第1段階として、まずFeliCaチップの代わりにNFCチップを搭載する計画にしている。ちなみにNFCチップはNFC Type A、Type B、FeliCaのいずれの近距離無線通信規格にも対応している。そして最終段階として、FeliCa SEの機能もSIMカード内に実装。FeliCa専用のチップは消え、NFCチップとSIMカードでモバイル決済が実現されることになる。主(FeliCa)と従(NFC)が完全に逆転するのだ。ドコモの説明員によれば、この最終形に至るまで「それほど時間はかからないだろう」とのことだ。

アップルも次期iPhone5でNFCを標準搭載すると噂されている。今回の各事業者の判断には、こうした状況も色濃く反映されているに違いない。

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橋本清治(はしもと・せいじ)

IT業界での30年の経験を生かし、某外資系通信機器ベンダー勤務の傍ら、エムアンドエムリサーチを運営。主に海外の通信事情リサーチやベンダーの日本進出の支援を行う。現在は特に韓国のモバイル通信事情を注視している。表面的な事実の調査だけでなく、必要があれば現地調査も行う行動派リサーチャ。“真実は体で確かめる”が身上。コンタクトはinfo@mmrjp.comまで

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