ウィルコム宮内社長が語る復活戦略「スマートフォンで挑んでも意味がない。我々はブルーオーシャンを狙う」

PHSのウィルコムはソフトバンクの子会社として事業再建を目指している。ソフトバンクグループ3社の副社長を務めるかたわら、ウィルコム社長としての重責も担う宮内氏は「スマートフォン時代になっても、音声メインで安価・省電力・低電磁波というPHSのセグメンテーションはなくならない」と再生への意欲を見せる。

――2010年11月30日に裁判所から更生計画の認可を受け、12月21日にソフトバンクグループの100%子会社になりました。新生ウィルコムの社長として、復活に向けた意気込みをお聞かせください。

宮内 ソフトバンクの子会社になったとはいえ、法律的には裁判所の管轄下にあります。私も肩書きは代表取締役社長ですが、現実には事業家管財人です。立場的に難しいのですが、とにかくPHS事業を再建したいと考えています。

――ソフトバンクがウィルコムの再建を担おうと決断した理由はどこにあるのですか。

宮内 もともと次世代規格のXGPについては早々と手を上げていましたが、PHS事業の方は債権をかなり落とさなければ再建は難しいと感じていました。しかし、他に名乗りを上げるところもなかったので、やるからには徹底的にやるしかないと考えました。

ウィルコム 宮内謙社長

――12月1日の発表会では、「3カ月以内の純増を目指す」という目標を明らかにされていました。これまで純減が続いてきましたが、目標は達成できそうですか。

宮内 私は楽天的なところがあるのですが、こればかりはどうなるかわかりません。ただ、PHSの契約数がどうこうというよりも、ソフトバンクグループトータルでかなり相乗効果が上がるだろうということは確信を持っています。

というのも、ソフトバンクモバイルとウィルコムの加入者を合わせると12月末で約2800万です。また、ウィルコムは通信事業者の中では法人顧客の比率が約4割と高く、その多くがエンタープライズ(大企業)です。ソフトバンクグループの法人部門はソフトバンクテレコムが担っているのですが、両社の法人顧客を単純に合算すると、シェアでKDDIを抜いて2位になります。しかも営業先の一部が重なっていたり、あるいはテレコムがカバーできていない企業をウィルコムが担当しているケースもあります。

そこで、早速この1月にソフトバンクテレコムに法人第四営業本部を新設し、ウィルコムの法人営業部隊と連携して一体となって全国で動ける体制を敷きました。既存のPHS顧客を維持すると同時に、iPadや「おとくライン」、データビジネスなどソフトバンクテレコムの製品を組み合わせた提案をすることで、グループ全体として利益を出していきたいと考えています。

月刊テレコミュニケーション2011年2月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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宮内謙(みやうち・けん)氏

1973年3月京都府立大学卒業。1984年10月社団法人日本能率協会を経て、日本ソフトバンク(現ソフトバンク)入社、営業政策室長として流通事業の営業企画。2000年6月ソフトバンク取締役(現任)。06年10月ソフトバンクテレコム代表取締役副社長兼COO(現任)。07年6月ソフトバンクBB代表取締役副社長兼COO(現任)、ソフトバンクモバイル代表取締役副社長兼COO(現任)。2010年8月ウィルコム管財人(現任)。同年11月同社代表取締役社長(現任)

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