KDDIがルーターを内製した理由 OSS活用して少数精鋭で開発

KDDIが独自のルーターOSを開発し、広域ネットワークでの検証を始めている。“少数精鋭”での開発を可能にするためオープンソースソフトウェアを最大限に活用。数年先の実用化を目指す。

GAFAと呼ばれる巨大プラットフォーマーをはじめ、クラウド事業者のデータセンター(DC)ネットワークではここ数年、ハードウェア/ソフトウェアの分離とオープン化が進行してきた。OS/ソフトウェアを搭載しないホワイトボックススイッチ(WBS)と、オープンソースあるいは自ら開発したソフトウェアを組み合わせて、コンポーネントごとの個別調達を可能にしたり、構成変更や機能追加を迅速に行えるようにするのが狙いだ。

最近では、DC間接続やクラウドDCのバックボーンネットワークにもその波が広がっている。そして、次に来るのが広域ネットワーク、キャリア網だ。

「キャリアにとって使いやすいネットワークを作るには、既存のベンダー製品を使い続けていては難しく、オープン化しなければならない。DCでできているなら我々にもできる」

そう語るのは、KDDI 技術統括本部 ネットワーク技術本部 IPネットワーク部副部長の熊木健二氏だ。

KDDI 技術統括本部 ネットワーク技術本部 IPネットワーク部 副部長の熊木健二氏(左から2番め)、IPネットワーク部 コアネットワークグループ 課長補佐の丹羽朝信氏(右)、アクセスネットワークグループ マネージャーの川上秀彦氏(右から2番め)、アクセスネットワークグループ 課長補佐の鈴木雄一郎氏(左)
KDDI 技術統括本部 ネットワーク技術本部 IPネットワーク部 副部長の熊木健二氏(左から2番め)、IPネットワーク部 コアネットワークグループ 課長補佐の丹羽朝信氏(右)、アクセスネットワークグループ マネージャーの川上秀彦氏(右から2番め)、アクセスネットワークグループ 課長補佐の鈴木雄一郎氏(左)

同社はこの春、WBSメーカーのDelta Networksと共同で、オープンソースを活用したルーターOSを開発した。シロクマを意味する「ThalarctOS」(タラルクトス)と名付けられたこのOSは、多くのWBSで採用されているBroadcom製Tomahawkチップセットを搭載したスイッチをターゲットに開発されたもので、最大3.2Tbpsのパケット転送能力を備える。6月から、産学連携コンソーシアム「WIDEプロジェクト」が運用する全国ネットワークで検証を始めている。

“ホワイト”ボックススイッチにちなんで、シロクマを意味する「ThalarctOS」と名付けた(画像提供:KDDI)
“ホワイト”ボックススイッチにちなんで、
シロクマを意味する「ThalarctOS」と名付けた(画像提供:KDDI)

月刊テレコミュニケーション2019年10月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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