ICT×未来

<シリーズ> 5G時代のエッジ革命

エッジコンピューティングでクルマはどう進化する? 死亡事故ゼロへの挑戦

文◎坪田弘樹(編集部) 2019.10.21

  • bookmark
  • Teitter
  • 印刷

クルマの安全技術が進化した今も、悲惨な交通事故は絶えない。より安全なクルマを実現するには、周辺環境とのより密な連携が不可欠だ。「エッジ」がそれを実現する。

 
交通事故死亡者ゼロ――。この人類の悲願を達成するため、クルマの安全技術は日々進歩しているが、残念ながら死亡事故の減少ペースに下げ止まりの傾向が見えてきている。

警察庁の統計では、2000年から2009年までの10年間で死者数は9073人から4979人へと約45%も減少した。だが、その10年後の2018年は3532人と3割しか減っていない。減少ペースは明らかに鈍化している。

これは日本に限ったものではなく、欧州でも同様だ。米国のように2015年に事故死者数が増加した例もある。

2010年代は、自動車が障害物を検知してドライバーへの警告やブレーキの補助操作を行う衝突被害軽減ブレーキをはじめ、安全運転支援システムの搭載が進んだ。ドライバーの保護や事故の被害軽減に貢献していることに疑いはないが、“命を守る”という観点で目覚ましい効果があったとは言えない。

クルマの知能化に限界クルマ自体が感知できない範囲の状況をドライバーに伝えるコネクテッドカーサービスは、この状況を打開するためのカギとなる。

現状のコネクテッドカーサービスは、リアルタイム性が求められないものが主流となっている。

例えば、事故発生後に位置情報やクルマの状況を通報する緊急通報システム、運転データから導き出されたドライバーの事故リスクに応じて保険料を算定するテレマティクス保険、クルマのメンテナンス情報をクラウドに収集して状態管理するリモートメンテナンスなどだ。

ここにエッジコンピューティングを組み入れることで、クルマが得た情報をエッジでリアルタイムに解析し、ドライバーへの警告や車両制御に使う安全運転支援サービスも可能になる。

クルマのエッジコンピューティングにおいて、コンピューティングリソースの設置場所としては大きく2つが考えられる。1つめはクルマ自体だ。車載コンピューターによって、センサー情報やクラウドから得た情報を解析する。2つめは、携帯電話基地局や道路設備、あるいは近傍のデータセンター等にエッジサーバーを置くパターンだ。

現在は、クルマへのセンサーやAIの搭載が進んでいることから、前者のクルマ自体を知能化してエッジコンピューティングデバイスとして使うアプローチが主流となっている。

ただし、この方向性には限界も指摘されている。

理由の1つは、1台のクルマがセンシングできる情報は限られることだ。複数のクルマが協調して安全かつ効率的な走行を行うCACC(協調型アダプティブ・クルーズ・コントロール)など、近隣のクルマ同士で情報共有するための取り組みは進んでいる。しかし、この場合も連携できるのは、すぐ近くのクルマに限られる。例えば予定走行ルートを30分前に通ったクルマの情報など、より多くのデータを活用できたほうが優れていることは間違いない。

もう1つの理由は、クルマのコンピューティング能力にも限界があることだ。

大手自動車メーカーや通信事業者等が共同で5Gを活用したコネクテッドサービス開発を進める「5G Automotive Association(5GAA)」に参画するノキアで技術統括部長を務める柳橋達也氏は、クルマのコンピューティング能力が肥大化すると「消費電力が大きくなりすぎ、EVの航続距離が割を食うことも起こり得る。クルマ側の比重を軽くする方向性が、自動車メーカーでも検討されている」と指摘する。

ノキアソリューションズ&ネットワークス 技術統括部長 柳橋達也
ノキアソリューションズ&ネットワークス 技術統括部長 柳橋達也

続きのページは「business network.jp」の会員の方のみに閲覧していただけます。ぜひ無料登録してご覧ください。また、すでに会員登録されている方はログインしてください。

スペシャルトピックスPR

attokyo2001
yamaha2001
soltec2001

>> 今月の月刊テレコミュニケーション

月刊テレコミュニケーション【特集】ネットワーク未来予想図2020
[Part1]3段階で進化する5G [Part2]ローカル5G急発進の可能性 [Part3]Wi-Fi 6の普及はハイペース [Part4]「飛び過ぎない」Li-Fiで通信 [Part5]LPWAは大規模導入期に [Part6]ドローンの携帯電波利用が解禁 [Part7]高まる有線IoTの存在感 [Part8]量子時代は暗号通信も進化

[インタビュー] NTT 取締役 研究企画部門長 川添雄彦氏「インターネットを超えるIOWN」 [ソリューション特集]学校ネットワーク/クラウド閉域接続 [ビジネス最前線]NTTコム、ローカル5G参入の狙い ほか

>>詳しい目次を見る

ホワイトペーパー

スペシャルトピックス

住友商事マシネックスついにオラクルがSD-WANに参入!
 クラウド接続に最適な高品質NW

Oracle Failsafe SD-WANは、ネットワーク品質を劇的に変化させる。

APRESIA Systemsローカル5G参入を強力サポート

APRESIA Systemsの「ローカル5Gシステム」はローカル5Gに必要な機能に絞り込み、導入を強力サポート

NECプラットフォームズ教育用ネットワークをトータル提案
IPv6活用でコスト削減・高速化

快適な校内無線LANには、VPNなど校外NWの整備も必要だ!

アット東京AWSやGCPなどメガクラウドに
直結する新時代のデータセンター

アット東京のデータセンターは“つなぐ”価値に磨きをかける!

ヤマハ仮想NWを始めるならヤマハで!

ヤマハの仮想ルーター「vRX」なら、これまでのノウハウをクラウドでも活かせる。

日本ソルテック学校ネットワークを簡単・安価に

日本ソルテックのクラウド管理型無線LANは、専門学校、介護施設を中心に豊富な導入実績!

シスコシステムズ世界で選ばれているオンライン会議
簡単にワンクリックで会議に参加!

Cisco Webexは社内外、誰とでも高品質なオンライン会議が行える。

エイチ・シー・ネットワークス株式会社ネットワークに迫る人手不足の危機
遠隔監視と予防保全で乗り越えろ!

光ファイバの保守現場の深刻な技術者不足。日立金属はどう対応した?

ハイ・アベイラビリティ・システムズ「全て」を一括認証できるSSO
簡単導入でパスワード管理から解放

AccessMatrix USOなら導入や運用も容易にシングルサインオンを実現!

ジェムアルト株式会社マルチクラウド時代の情シスを救う
認証プラットフォーム!

認証・特権ID管理をきめ細やかに! 自社サービスとしても展開可能。

ZscalerDX加速させるクラウドセキュリティ
「100ms以下」の遅延で快適利用

Zscalerの革新的アーキテクチャで働き方改革を強力推進!

パロアルトネットワークスパブリッククラウド基盤の
セキュリティ対策はどうする?

開発のライフサイクル全体でリソースを保護する「Prisma Cloud」

ヤマトロジスティクスキャッシュレス化に乗り遅れるな!
決済端末の導入・運用を一括代行

キャッシュレス決済の導入をヤマトロジスティクスがトータル支援!

アクセスランキング

dwpreport
tc_banner191122

「通信」の力でビジネスを進化させるbusinessnetwork.jp

Copyright(c) 2019 RIC TELECOM Co.,Ltd. All Rights Reserved. 記事の無断転載を禁じます