キーパーソンが語る

オプテージ荒木社長「情報・通信の事業統合は必然。ローカル5Gには多くの可能性」

聞き手◎太田智晴(編集部) 2019.09.24

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オプテージ 代表取締役社長
荒木誠氏

関西電力グループの「情報」事業を統合したケイ・オプティコムは、「オプテージ」として新たなスタートを切った。経営戦略の策定などの上流工程からコンサル部隊が関わり、「情報」と「通信」を一体提供することにより、「マストなソリューションとして横展開できる成功事例を増やしていく」と語る荒木社長。ローカル5Gをはじめとした5G関連ビジネスにも意欲を燃やす。

 
――ケイ・オプティコムは今年4月1日、「オプテージ」へと社名変更。関西電力グループのSI会社、関電システムソリューションズ(KSSOL)の情報通信インフラ事業と一般企業・自治体向けのシステム開発事業、さらに関西電力が保有する社内LANなどの通信サービス提供機能も統合し、「情報」と「通信」を一体提供できる組織へ生まれ変わりましたね。

荒木 我々は回線ビジネスを中心にやってきましたが、関西のFTTH市場はほぼ飽和し、現在は伸び率が緩やかになっている状態です。さらなる成長を目指すためには、もっと高いレイヤーへビジネスを広げていかなければならないという思いが元々ありました。

今回の組織再編には、2つの目的があります。1つは、グループ全体の設備コスト低減と競争力強化です。グループ全体を見渡すと、従来は各社がそれぞれ大量のサーバーファームを持っているという状態でした。ネットワークもそうです。電力保安通信といいますが、関西電力には電力設備を安定運用するため、独自仕様のネットワークがあります。この電力保安通信も独自仕様からIPへの移行が進んでおり、これも別々に保有するのは「ナンセンスだよね」と。そこでオプテージが全部引き受け、グループ全体に提供する体制に変えました。

こうすることで、関西電力からすれば資産をオフバランスでき、サーバーやネットワークなどを安く利用できるようになります。我々からしても、関西電力というユーザーが乗ることで、グループ外へ販売する際の原価を下げることができ、競争力強化につながります。

――2つめの目的は、情報通信事業のさらなる発展ですね。

荒木 オプテージにとって、より重要なのがこの2つめの目的になります。

オンプレからクラウドへの移行、AIやIoTなどのデジタル技術の進展、そして企業におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)ニーズの高まりといった法人市場の動きを考えると、SIとネットワークを別々に提供するというのは、時代に合っていません。今回の事業統合は必然でした。「情報」と「通信」を一体的に提供し、お客さまのDXを支援していくことで、さらなる成長を遂げられると考えています。

統合により、KSSOLからは外販のSI部隊、サーバーをはじめとする基盤系部隊、セキュリティ部隊などが来ましたが、例えばセキュリティ部隊には技術力がかなり高いメンバーが揃っています。電力会社は国から重要インフラ事業者に指定されていますが、彼らは関西電力のセキュリティをしっかり守ってきました。

従業員規模で言いますと、従来約1450名だったのが、約2600名まで増えました。KSSOLから約850名、関西電力からも約300名が加わっています。

――スローガンも一新しました。

荒木 ケイ・オプティコム時代は「光をもっと、あなたのそばに。」だったコーポレートスローガンを、オプテージでは「What's next?」へ変えました。

FTTHは「eo光」、MVNOは「mineo」とコンシューマー向けにはサービスブランドのほうを強く打ち出してきましたから、会社名が変わっても大きな影響はありません。しかし法人向けは違います。「オプテージ」に変わったことで、お客さまにとっては何が変わるのか─。ケイ・オプティコムやKSSOLではなく、オプテージが目指すものを社員1人ひとりがお客さまにしっかり答えられるよう、企業理念等を刷新するとともに、社員の意識を変えるインナーブランディングの意味も込めて、「What’s next?」をスローガンに掲げました。

社名変更には、Webサイトのドメイン変更だったり、メールアドレスの変更だったり、結構大変なオーバーヘッドがかかります。それでも社名変更に踏み込んだのは、従来の回線ビジネスから一皮むいて、「我々は次の時代、次のステージに向け挑戦する」という意思をお客さまに示すと同時に、社員にも新たなスタート地点に立ってほしかったからです。

オプテージ 代表取締役社長 荒木誠氏


ベターではなくマストを――具体的に今、法人向けにどんな「What's next?」が進行していますか。

荒木 まず取り組んだのが「クロスセル営業」です。統合の話は昨年から検討されていましたので、昨年暮れから互いの商材を勉強して一緒に提案に行く活動をスタートしています。

中堅企業の場合、システム担当とネットワーク担当が同じというケースが多いですから、「ワンストップで話ができて、ありがたい」といった声をいただいています。

2つめに取り組んだのが、互いの商材を組み合わせた新商品の開発です。一例がセキュリティです。KSSOLは、セキュリティのコンサルティングや標的型メール訓練、脆弱性診断などが得意です。一方、ケイ・オプティコムには関西2府4県のうち、3つの自治体のセキュリティクラウドをお引き受けしている実績があります。こうした互いの強みを掛け算して、企業内のセキュリティをフルサポートするソリューションの提案を始めており、すでに多くの商談が進んでいます。

このほかにもKSSOLが提供していたOffice 365やPCの運用管理と、mineoの閉域接続サービスを組み合わせたテレワークパッケージサービスだったり、互いが持っていた商材をパッケージングするだけでも「使いたい」という声をお客さまから頂戴します。「いろいろできるね」という実感を掴み始めているのが最近の状況です。

――「情報」と「通信」の一体提供という成長戦略に、確かな手応えを得ているわけですね。

荒木 ええ。どんな掛け算ができるかというと要素は2つあって、1つはサービス領域です。サービス領域については本当に全部揃いました。コンサルから運用、アウトソーシング、データセンターまで、幅広いサービス領域をワンストップで提供可能になっています。もう1つは、課題抽出から戦略立案、システム構築・運用を行い、さらに改善のサイクルを一緒に回していくというお客さまとの共創です。

「この2つを掛け合わせてワンストップで提供できます」と「ONE STOPX SOLUTION」という名前を付けて、お客さまに説明しているところです。

ビジネスコンサル部隊については、私が言うのもおかしいですが、非常に優秀なメンバーが揃っています。元々、外資コンサルティングファームや監査法人などにいた約30名の部隊で、公認会計士の資格を持ったメンバーもいます。経営戦略や事業戦略の策定を支援する超上流から現場の運用部隊まで、すべて揃っているのが我々の強みです。

――IoTについては、どんな取り組みを行っていますか。

荒木 例えば、この7月に作業員安全管理支援ソリューション「みまもりWatch」を発表しました。現場作業員の皮膚温度、心拍、GPS位置情報を腕時計型のウェアラブル端末で取得し、周りの温湿度情報を加えてLoRaWANで送信。最新のWBGT値(暑さ指数)と熱中症危険度を判定し、危険があればGPS情報をもとに管理者が駆け付けられるソリューションです。

これは、関西電力病院の医師の監修のもと、ある会社さんの課題解決のために開発したソリューションです。熱中症対策は今、マストになってきています。こういう形でお客さまの課題を一緒に解決し、その成功事例を横展開していく――。ベター(あれば便利)というより、マスト(なくてはならない)なソリューションを作って横展開していくことを目指しています。
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著者プロフィール

荒木誠(あらき・まこと)氏

1963年2月生まれ。87年3月京都大学大学院 工学研究科情報工学専攻を修了後、同年4月に関西電力入社。2011年12月関電システムソリューションズ 経営改革推進本部 企画経理部長、12年6月同社 取締役 経営改革推進本部 副本部長、13年6月関西電力 経営改革・IT本部副本部長、15年6月同社 グループ経営推進本部 副本部長 併任 ケイ・オプティコム 取締役(非常勤)、16年6月関西電力 執行役員 IT戦略室長、17年6月ケイ・オプティコム 代表取締役副社長執行役員などを経て、18年6月から現職

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