ジュニパーのセキュリティ責任者「単一ベンダーのセキュリティ対策は高コスト」

ジュニパーネットワークスが新たなビジョン「ジュニパーコネクテッドセキュリティ」を打ち出した。そこで強調しているのは、単一ベンダーのセキュリティプラットフォームを採用することの危険性。同社はパートナー企業との連携を重視している。

「単一ベンダーのセキュリティプラットフォーム戦略に従うことは、コストの増加を意味する」――。米ジュニパーネットワークスでセキュリティビジネスの責任者を務めるサマンサ・マドリード氏は2019年4月24日、都内で記者会見を開き、こう警告した。

米ジュニパーネットワークス サマンサ・マドリード氏
米ジュニパーネットワークス
セキュリティ・ビジネス&ストラテジー担当副社長
サマンサ・マドリード氏

コストが増加するのは、セキュリティ対策の強化などを行う際、「すでに投資しているセキュリティ技術を置き換えていく必要がある」からだという。また、データ保護の重要性が高まるなか、各国で規制強化の動きが起きているが、単一ベンダーのセキュリティプラットフォームでは、「各国の規制に対応することは難しい」ともマドリード氏は指摘した。

これに対して、ジュニパーが推し進めているのは「andの戦略であり、orの戦略ではない」――。同社はパートナーとの連携に注力しており、「お客様は投資済みのセキュリティ技術を活用できる」とマドリード氏は強調した。

ジュニパーのセキュリティパートナー
ジュニパーのセキュリティパートナー

こうした同社のセキュリティ戦略は、「ジュニパーコネクテッドセキュリティ」として、今年3月に米国で開催された「RSA Conference 2019」で発表されたものだ。

ここで使われている“コネクテッド”という言葉には、様々なセキュリティベンダーの製品とコネクテッドしながら、脅威を防御しようという意味も込められているのだろう。

ジュニパーコネクテッドセキュリティの概要
ジュニパーコネクテッドセキュリティの概要

また、あらゆるモノが“コネクテッド”になっていくIoT時代を意識したネーミングとも言える。

「セキュリティにおいて、まず課題としてあるのが、大量のデータが存在し、それを見る人材が不足していること。平均的なエンタープライズでは、毎月1万ほどのアラートに対応しなければならない」

マドリード氏はこう説明したうえで、「これにIoTも加わると、さらにアラートの数は増えることになる」と語った。

IoT時代、ますます増加していくアラートに人海戦術で対応していくわけにはいかない。そこで必要不可欠になるのが、自動化のテクノロジーだ。

ジュニパーは、サードパーティのファイアウォールやエンドポイントセキュリティ製品などとも連携しながら、自動分析や自動可視化、自動での隔離などを実行できる「Juniper Advanced Threat Prevention」(JATP)を提供している(関連記事:ジュニパーの統合セキュリティが強化――サードパーティ連携で可視化・ブロックを自動化

ジュニパーのセキュリティポートフォリオ
ジュニパーのセキュリティポートフォリオ。マドリード氏は「ポートフォリオを揃えている」と紹介したうえで、「繰り返すが(我々の製品にすべて置き換える必要はなく)投資済みのセキュリティを活用できる」と話した

IoTについては、導入事例も紹介された。ある多国籍企業の事例である。

同社の工場のOTネットワークは、標準化されていない独自のプロトコルを採用し、以前はセキュリティ対策を施していなかった。そこでいくつかのセキュリティベンダーと、日本工場でPoCを実施。最終的にジュニパーコネクテッドセキュリティが選ばれたという。

インダストリアルIoTにも注力するジュニパー
インダストリアルIoTにも注力するジュニパー

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