ニュース

NTTがスマート稲作の実証実験ーーみちびき対応ドローンとAIで収量30%増狙う

文◎藤井宏治(IT通信ジャーナリスト) 2019.04.19

  • bookmark
  • Teitter
  • 印刷

NTTグループが、準天頂衛星みちびき対応ドローンとAI技術を活用したスマート稲作の実証実験に乗り出す。ドローンで撮影した農地の画像をAIにより解析、追肥や農薬散布などをドローンにより最適なタイミングで行えるようにする。これにより、収量を最大30%増大できるという。NTTデータの営農支援プラットフォーム「あい作」の付加サービスとして2年後の商用化を目指す。

NTTグループは2019年4月18日、ふくしま未来農業協同組合、エンルート、日本農業とともに、準天頂衛星みちびきに対応したドローンやNTTグループのAI技術を活用したスマート稲作の実証実験を行うと発表した。

実証実験は、みちびき対応ドローンとNTTグループのAI技術を活用した「スマート営農ソリューション」により、水稲の収量増大・品質向上、作業効率の改善が図れるかを検証するもの。今年4月から2021年3月まで、福島県南相馬市のアグリ鶴谷(つるがい)農場で、福島県のオリジナル品種「天のつぶ」を用いて行われる。実験に参加するのは、NTTグループ(持ち株会社、NTTデータ、NTTデータCCSなど8社)、ドローンベンダーのエンルート、福島みらい農業協同組合、日本農薬などを加えた計15社。 実験では、スマート営農ソリューションの「生産」プロセスで用いられる、A「スマート生育診断・追肥」、B「スマート病害虫診断・対処」、C「スマート病害虫予測・対処」の3つのシステムについて、検証が行われる。

 
 「スマート営農ソリューション」のイメージ


Aの「スマート生育診断・追肥」は、みちびき対応ドローンなどで撮影した画像を元に、稲の生育ステージをAIで正確に診断し、収穫・品質向上に最適な追肥のタイミングを特定。それに基づいてドローンで追肥作業を行うもの。

上空からの撮影では把握できない稲の部位を把握するため、地上の定点カメラの映像も併用する。

稲の栽培では、穂か出る1カ月前、茎の中で1~2mm程の幼穂が形成される分げつ期に移って10日後に追肥を行うことで、最も収量・品質が高くなることが経験則から知られている。

現状では最適なタイミングを特定するため、カッターで茎を切り開いて人の目で確認しているが、実験では、これをドローンや定点カメラで撮影した圃場の画像を使ってAIで診断できるようにする。この技術はNTTデータCCSが茨城県の実験農場で実証済みで、今回の実験でも同社の技術が用いられる。

撮影や追肥の作業に使用するドローンは、NTTデータのドローン運行管理システム「airpalette UTM」で制御を行う。

Bの「スマート病害虫診断・対処」は、ドローンで撮影した画像、上空から撮影が困難な場合はスマホで撮影した映像を用いて、AIで病害虫や雑草の種類を把握する。さらに、みちびきで測定した高精度の位置情報に基づき、ドローンで病害虫や雑草のある場所だけに適切な農薬を散布することで、減農薬も実現できる。

日本農薬のデータを用いてすでに千葉県で病害虫・雑草を識別する実験が行われており、70種類への対応が可能になっているという。

「地球温暖化の影響で、これまでの作物の経験則に基づく農作業のタイミングにずれが生じるようになったり、その土地にいなかった病害虫が出現するなどの問題が出てきている。私どものソリューションで、こうした問題をカバーできると考えている」。NTT 技術企画部門  イノベーション戦略担当 担当部長の金井俊夫氏は、実験の狙いの1つをこう説明する。ドローンとAIの活用で農作業を効率化することで、就農人口減少を解消する有力な手立てにもなるという。AとBの実験は、農林水産省の「スマート農業技術の開発・実証プロジェクト」の一環として実施される。

 
 NTT 技術企画部門 イノベーション戦略担当 担当部長 金井俊夫氏


もう1つのC「スマート病害虫予測・対処」は、独自に実施される実験で、みちびきで撮影した画像、赤外線カメラで取得した水温・地温などのデータや気象データなどを活用し、NTT研究所AI技術により病害虫の発生を予測するもの。

 
 ドローンとAIによる稲の「病害虫予測・対処」システム


今回は食害によるコメの等級低下の原因となるカメムシを対象とした。

金井氏は「農家が農薬を散布する際には準備に2~3日程度必要となるため、発生を事前に予測が付けば、被害防止に大きな效果が期待できる」とした上で、「NTTが調べた限り、稲作での活用は日本で初」と述べた。

技術開発に携わったNTT サービスエボリューション研究所主幹研究員の宮本勝氏は「人口の分布の変化を予測する人流予測のロジックを虫に応用した」と説明する。

金井氏は、今回の実験に「みちびき」を利用した理由を「日本の農業、田畑の4割くらいは中山間地域にあり、GPSだとマルチパスで正確な測位ができない可能性がある」と説明する。誤差が生じるとドローンを使った正確な診断、作業ができなくなるからだ。

実験には、誤差1m程度のサブメーター級の測位端末が使われる。「誤差数cm程のセンチメーター級のデバイスは高価で実証実験には使いにくかった。サブメーター級の端末は実勢価格で2万円程、複数の機器に登載してもリーズナブルに使える」(金井氏)
 
データはドローンからSDカードを回収する形で収集しているが、規制が緩和されれば、セルラードローンを用いて、リアルタイムでデータを収集することも計画しているという。

NTTでは今回の実験の目標をコメの収量の30%増大、品質向上に置いている。さらに、ドローンを活用することで農薬散布や肥料散布に関わる時間を30%削減できると見ているという。

2年間の検証を重ねた上で、NTTデータの営農支援プラットフォーム「あい作」の付加サービスとして商用化する計画だ。海外展開も視野に入れている。


スペシャルトピックスPR

silverpeak1904
cyber1903
zeta1903

>> 今月の月刊テレコミュニケーション

月刊テレコミュニケーション【特集】キャリアネットワークの
   メガトレンド
●5Gを4つのキーワードで解説 ●通信インフラは「共有」する  ●基地局は持ち運ぶ時代へ ●ネットワーク機器の機能分離が加速 ●ゲームチェンジの引き金を引くO-RAN ●5G網はSRv6で一筆書き

●[インタビュー] クアルコムジャパン 須永順子社長「5Gの1年前倒しに大きな意義。ローカル5Gを工場へ積極提案」 ●スマホ内線化で働き方を変える ●埼玉県飯能市が“IoT罠”で獣害対策 ●ネットワン「サブスク拡大」の理由 ●IoTを導入しない企業は5年以内に脱落? ほか

>>詳しい目次を見る

ホワイトペーパー
プレゼントキャンペーン201904A

スペシャルトピックス

インテルキャリア網もクラウドネイティブへ
5G革命を推進するインテル

インテルが5G時代の新NW実現に向けた取組みを加速させている。

エクストリームネットワークス「ワイヤレスジャパン」に出展!
Wi-FiとIoTをAIが自動で管理

「Smart OmniEdge」がネットワークエッジのトラブルから解放する!

NTTコミュニケーションズeSIMを本格提供! 垂直統合で企業のIoT活用を支えるNTT Com

国内MVNO初のリモートプロビジョニング対応eSIMサービスも提供開始

サクサキャリア網の利用で高い通話品質
スマホ2台までお試し導入も!

サクサのビジネスホンなら、スマホ内線が途切れない! 使い勝手も◎!
NTTコムウェアスマホ内線で高い通話品質を実現!

交換機開発のノウハウを活かしたNTTコムウェアのクラウドPBXは、高い安定性や優れた通話品質が特徴

日本シエナコミュニケーションズ光伝送網の能力はもっと引き出せる
目指すは“どこでも400G”の世界

シエナが1波800Gbps伝送を可能にする新世代チップを発表した。

KCCS加速し続けるSigfoxの「今」
人口カバー率は94%を突破

グローバルでも年末には70カ国・1300万回線に拡大見込みだ。

専門人材が24/365で対応するMSS
最新鋭のSOCで途絶なく脅威を監視

次世代FWなどのセキュリティ機器は「設置しておしまい」ではない。

ケーエムケーワールド最大2.7Gbpsの次世代FW
100名以下の企業で採用が増加!

NISG3000は様々なセキュリティ対策が詰まったオールインワン型

ジュニパーネットワークス"クラウドが遅い"をSD-WANで解消
ブレイクアウトの課題とは?

クラウドの「体感品質」にフォーカスしたジュニパーのSD-WAN

シングテル海外拠点網“SD-WAN化”の注意点とは?

グローバルキャリアに聞く回線選びの重要性

ソニービズネットワークス“ひとり情シス”でも心配なし!
SD-WAN始めるならマネージド型で

SD-WAN導入に悩みを抱えるIT担当者に最適なマネージドSD-WAN

マクニカネットワークス高精度にアプリ識別可能なSD-WAN
速度も最大10倍以上に高速化

Silver PeakのSD-WANは「正確で速い」という強みを持つ。

ハカルプラス後付け簡単&低コスト! 5km飛ぶLoRa無線機で始める設備のIoT化

IoT導入時のハードルをぐっと下げる、ハカルプラスの「LoRa無線機」

サイバーソリューションズビジネスメール詐欺を確実に防御!
メール攻撃対策の頼れる存在

MAILGATESΣなら、既存メール環境と組み合わせて解決できる

ZETAアライアンスマルチホップができる革新的LPWA
ZETAでIoTビジネスを掘り起こす!

マルチホップという他のLPWAにない特性で、次々にユースケース開拓!

ソネット“ネットワークエンジニア不要”は
本当だった!

コスパの高さと圧倒的使い易さに感銘! Ubiquitiのユーザーが証言。

ラクスメール対応ミスを複数人管理で減少
誤送信を防ぐ送信前チェック機能も

返信モレに重複対応、誤送信……。メールによる顧客対応の課題解決!

NECモバイルワークに必須のアイテム
いつでもどこでも内線通話を実現!

NECのUNIVERGE ST500は、スマホを内線端末として利用可能にする。

アクセスランキング

tc1904
compass

「通信」の力でビジネスを進化させるbusinessnetwork.jp

Copyright(c) 2018 RIC TELECOM Co.,Ltd. All Rights Reserved. 記事の無断転載を禁じます