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ソフトバンクがCat.M1で狙うLPガス市場――遠隔検針に“価格破壊”を

文◎藤井宏治(IT通信ジャーナリスト) 2019.02.06

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ソフトバンク 法人プロジェクト推進本部
MTC事業推進統括部 MTCサービス
シニアアーキテクト 荒木健吉氏

ソフトバンクが春からLTE Cat.M1を用いたLPガスの遠隔検針向けサービスに乗り出す。Cat.M1で無線遠隔検針の“価格破壊”を実現し、2400万世帯あるLPガス市場へのIoT普及を加速させる。

 
「LPガスの遠隔検針は有線・無線を合わせて約600万軒に導入されているが、2000年を境に伸びがほとんど止まってしまった。Cat.M1でこの状況を変えられるのではないか」。ソフトバンクでLPガスの遠隔検針向け通信プラットフォームサービスの開発に携わる荒木健吉氏は、こう語る。

LPガスでは、1990年頃からノーリンギング通信サービス(加入電話の無鳴動接続サービス)を利用した遠隔検針の導入が本格化し、利用世帯数は10年間で500万を超えた。その流れが変わったのは2000年のことだ。インターネットの普及に伴い、加入電話をISDNや光回線に切り替える世帯が増え、ノーリンギング通信サービスが使えなくなってきたのだ。

人手の検針より高額にその代替として登場したのが、無線を用いた遠隔検針である。

主に多数のガスメーターの検針データを有線や400MHz帯の自営無線でゲートウェイに集約し、3G回線やPHSを介してLPガス会社の集中監視センターなどに送信する方式が用いられている。

ただ、導入世帯数は約300万と、無線による遠隔検針はこれまでのところ広く普及しているとはいえない。前述のノーリンギング通信サービスを合わせても、LPガスの遠隔検針の導入数は現在約600万世帯にとどまっており、2000年からわずか100万世帯しか増えていない。「LPガス遠隔検針の失われた20年」と荒木氏は表現する。

無線による遠隔検針が普及しない最大の理由はコストだ。「従来の電話回線を使うシステムと比較すると、2~4倍のコストがかかる。人手で1軒ずつ検針するより高く付くケースも少なくない」と荒木氏は説明する。

そこでソフトバンクが打ち出した解決策が、LTE版LPWA「Cat.M1」(LTE-M)の活用である。ソフトバンクは2018年4月から、1回線月額10円からという低価格でCat.M1の提供を開始した。

「欧州では一部のキャリアが10年間500MBまで10ユーロという料金を用意しており、これを月額にすると約10円になる。世界のトレンドに歩みを合わせた戦略的な料金」(荒木氏)

Cat.M1には従来のLTEに比べてモジュールの機構が単純化されており、デバイスコストを抑えられる利点もあるという。

ソフトバンクはもう1つのLTE版LPWA、NB-IoTも月額10円からで提供しているが、Cat.M1を採用したのは、FOTA(無線によるソフトウェア更新)に対応できるためだという。
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