キーパーソンが語る

エッジコンピューティングサミット 2018 講演レポート

エッジコンピューティングのその先「DRC」とは?――富士通 大澤氏が講演

文◎伊藤真美(ライター) 2019.01.23

  • bookmark
  • Teitter
  • 印刷

富士通 ネットワークサービス事業本部
IoTビジネス事業部 事業部長
大澤達蔵氏

IoTとともに近年注目のバズワードとなっている「エッジコンピューティング」。なぜそこまで期待されているのか、またどのような価値が評価されているのか。富士通の大澤達蔵氏は、改めてエッジコンピューティングの定義や典型例を解説するとともに、その発展のカギを握る多彩なクラウド技術について考察。そして、エッジコンピューティングの「さらに先にあるもの」として、「ダイナミックリソースコンピューティング(DRC)」を紹介した。

 
「エッジコンピューティング」とは何か。ガートナーの定義によると「データの生成元、またはその近くでのデータ処理を容易にするソリューション」となる。2015年頃からバズワード的に注目され、最近ではその実用性に関する議論も本格化してきている。

富士通の大澤達蔵氏によれば、エッジコンピューティングが配置される「データ生成元の近く」が具体的にどこを指すのかについては、はっきりとした定義がない。センサーデバイスそのものの場合もあれば、プライベートクラウドあたりまで含まれるケースもある。

エッジコンピューティングが配置されるエリア
エッジコンピューティングが配置されるエリア


 
大澤氏はエッジコンピューティングの本質的な意義について、「IoTにおける非機能要件への対応」と説明した。エッジコンピューティング単体で機能を提供するというより、IoT機器の非機能要件を補完することで、IoTシステムを“現実的に”実現できることに価値がある。

その価値の具体的中身として、まず大澤氏が挙げたのがコスト面だ。クラウド側に大量のデータを集めて処理するクラウド集中型は、ストレージやネットワークに莫大な費用がかかる。しかし、エッジコンピューティングを活用すれば、現実的なコストに抑えられる。

2つ目は、クラウドで処理することで時間的なロスを減らせるという性能面だ。データの発生元に近い場所で処理することで、リアルタイム性の高い低遅延の処理を実現できる。

3つ目はセキュリティ面。クラウドに生データを集めるリスクを負わないため、GDPRでのデータプロテクションを担保する方法としても期待されているという。

そして4つ目が可用性だ。「どこかがダウンすれば使えないというリスクが避けられるため、特にアベイラビリティをクリティカルな要件とする産業系においてIoTシステム普及のトリガーとなる可能性がある」と大澤氏は語った。

エッジコンピューティングの4つの本質的な意義
エッジコンピューティングの4つの本質的な意義




エッジコンピューティングの代表的なユースケースの1つとして、自動車の自動運転がある。例えばドライブレコーダーの画像データなどを集めてダイナミックマップ(静的&動的情報を組み込んだデジタル地図)に活用する場合、集めるデータが膨大となることは明らかだ。

そこで登場するのがエッジコンピューティングである。信号機や高速道路の施設などにRSU(簡素型路側無線装置)として配置したり、通信事業者内にMEC(マルチアクセスエッジコンピューティング)としてサーバー機能を持たせたりすることで、効率的な処理が可能になる。自動運転を支えるダイナミックマップに、エッジコンピューティングは必要不可欠なテクノロジーだ。

ただし、大澤氏はエッジコンピューティングの現状について、こうも指摘した。「完全自動運転は2030年がめど。現在のIoTシステムは“軽くできる”ことに主眼が置かれ、セキュリティや性能などは重視されていない。このため、エッジコンピューティングの出る幕はほとんどない。さらにビジネスモデルの構想がまだ不十分で、非機能要件にまで至っていないため、現状はエッジコンピューティングの本質からは遠く、ようやくその必要性が語られるようになってきた段階だ」

富士通 大澤達蔵氏


それならば、現在流行っているエッジコンピューティングとは何なのか。大澤氏は「昔のオンプレミスを指していることが多い」と語った。つまり、エッジコンピューティングの本質とは、異なる解釈がなされているという。エッジコンピューティングに対する考え方にはギャップがあるのだ。

例えば、通信技術者はオンプレミス的なエッジコンピューティングも新技術として捉えるが、IT/OT技術者で通信知識がある人は、「工場IoTはオンプレが当然であり、PLC(プログラムロジックコントローラー)は1960年代からあった」と冷ややかだという。

一方、一般的なIT技術者の場合、エッジコンピューティングのことをまだ知らない人も少なくない。
続きのページは「business network.jp」の会員の方のみに閲覧していただけます。ぜひ無料登録してご覧ください。また、すでに会員登録されている方はログインしてください。

スペシャルトピックスPR

extreme1906
nttcom1906sp
saxa1906

>> 今月の月刊テレコミュニケーション

月刊テレコミュニケーション【特集】5Gのホントの実力
[Part1]5G新アプリも米国発に? [Part2]韓国「5G+戦略」の実像 [Part3]実証実験で見えてきた5Gの実力 [Part4]産業イーサを代替できる? さらに進化する5G

●[インタビュー] 慶應義塾大学教授 砂原秀樹氏「IoTセキュリティと情報銀行がインターネット前提社会の基盤」 ●今から始めるGDPR対策 ●メッシュWi-Fiで“超手軽”な無線LAN ●100万円から作れる!Amazon Go型店舗 ●Ansibleでソフトバンクが働き方改革 ●電気もガスもWi-SUNの時代へ ほか

>>詳しい目次を見る

ホワイトペーパー

スペシャルトピックス

Synology話題の「メッシュWi-Fi」を選ぶならSynology

ハード性能に加えてソフト機能も充実! ビジネスにも活用できる。

Cloudian HyperStore企業のGDPR遵守を強力サポート!
EB級ストレージを安価に自社構築

Amazon S3と同等のオブジェクトストレージを自社で構築・運用できる

NEC UNIVERGE SVシリーズクラウドとの連携を容易に実現!
新NEC UNIVERGE SVシリーズ

新端末を組み合わせることで、通話にとどまらない充実した機能

インテルキャリア網もクラウドネイティブへ
5G革命を推進するインテル

インテルが5G時代の新NW実現に向けた取組みを加速させている。

エクストリームネットワークスWi-FiとIoTをAIが自動で管理
10万人のスタジアムに搭載

「Smart OmniEdge」がネットワークエッジのトラブルから解放する!

NTTコミュニケーションズeSIMを本格提供! 垂直統合で企業のIoT活用を支えるNTT Com

国内MVNO初のリモートプロビジョニング対応eSIMサービスも提供開始

サクサキャリア網の利用で高い通話品質
スマホ2台までお試し導入も!

サクサのビジネスホンなら、スマホ内線が途切れない! 使い勝手も◎!
NTTコムウェアスマホ内線で高い通話品質を実現!

交換機開発のノウハウを活かしたNTTコムウェアのクラウドPBXは、高い安定性や優れた通話品質が特徴

日本シエナコミュニケーションズ光伝送網の能力はもっと引き出せる
目指すは“どこでも400G”の世界

シエナが1波800Gbps伝送を可能にする新世代チップを発表した。

アクセスランキング

tc1904
kaden
compass

「通信」の力でビジネスを進化させるbusinessnetwork.jp

Copyright(c) 2018 RIC TELECOM Co.,Ltd. All Rights Reserved. 記事の無断転載を禁じます