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<山のIoT>LPWAをキラー技術に、人・動物の測位から防災まで

文◎藤井宏治(IT通信ジャーナリスト) 2018.10.19

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LPWAや衛星通信、142/429MHz帯小電力無線などを用いることで、「山」でもIoTが活用されるようになってきた。画像など大容量データの通信手段の解禁を望む声も聞かれる。

 
新たな無線技術の登場で、携帯電話がつながらない山の中でもIoTを活用しようとする動きが広がってきた。住友林業とNTTドコモが4月に実施した「林業従事者の安否確認・事故検知ソリューション」の実現に向けた実証実験も、その1つだ。

4km超で通信が可能林業の造林・伐採などの作業は、山間部の携帯電話の電波が届かない場所で行われることが多く、万一事故が発生しても気付かれなかったり、救援要請に時間がかかるなどの課題がある。そこで住友林業とドコモは、低消費電力で広いエリアをカバーできるIoT無線技術LPWAと衛星電話を活用して携帯電話のエリア外でも作業員の位置を把握し、事故発生時に緊急通報を行えるシステムの開発に乗り出した。2019年度中の実用化を目指している。

ドコモでこのプロジェクトを所管しているイノベーション統括部は、自社のR&Dの資産を活用し、社会課題の解決や協業による新たなビジネスの創出に取り組んでいる。「昨年秋に住友林業から林業従事者の安全確保が課題になっているとうかがい、ドコモとして何かできることはないかと考えた」。イノベーション統括部の後友恵氏は、開発の経緯をこう説明する。

NTTドコモ イノベーション統括部 事業創出・投資担当 スマートライフ推進部 ドローン推進室 担当課長 後友恵氏
NTTドコモ イノベーション統括部 事業創出・投資担当
スマートライフ推進部 ドローン推進室 担当課長 後友恵氏



今回の実験では、和歌山県の住友林業の社有林にLPWAの基地局(受信局)を設置。GPS内蔵のLPWA端末を山林内の様々な場所に移動させ、LPWAの電波が実際にどの程度の距離まで届き、どのくらい地形や樹木の影響を受けるか調査を行った。

和歌山県の住友林業の社有林に設置されたLPWA基地局
和歌山県の住友林業の社有林に設置されたLPWA基地局



実験には、ソニーが開発した独自方式とLoRaWANの2つのLPWA技術が用いられ、いずれも4km以上の距離で通信が可能であり、木などの障害物への耐性が強いことが確認されたという。

「携帯電話の圏外になることが多い山林で安全確認を実現する上でLPWAがキーになると考え、その実力を検証した。実用化する際に4kmで十分なのかなどをこれから検討していく」(後氏)

実験に用いられたGPS機能搭載のLoRaWAN(右)とソニーのLPWA(左)の端末
実験に用いられたGPS機能搭載のLoRaWAN(右)とソニーのLPWA(左)の端末


LPWA基地局で受信したデータは、3G/LTE回線を用いてインターネット経由でクラウドに送られ、見える化などの処理が行われることが多い。だが、今回の実験ではLPWA基地局の設置場所が携帯電話の圏外になるため衛星回線が用いられ、クラウドに支障なく接続できることが確認された。

LPWA基地局とクラウドとの接続には衛星回線(ドコモの「ワイドスター2」)が使われた
LPWA基地局とクラウドとの接続には衛星回線(ドコモの「ワイドスター2」)が使われた



住友林業とドコモは今後も実証実験を積み重ね、林業分野だけでなく、土木工事現場や登山客などを対象とした新サービスの提供も検討していく。
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