キーパーソンが語る

総務省 富永局長「MVNOの接続料をさらに低廉化。つながるクルマがIoTの“先兵”」

聞き手◎太田智晴(編集部) 2017.01.25

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総務省 総合通信基盤局長
富永昌彦氏

日本の成長戦略の土台を担う「情報通信インフラ」――。その整備をミッションとするのが総合通信基盤局だ。“協調的寡占”とも指摘されるモバイル市場の競争促進、5Gの2020年商用化、IoTの推進、PSTNからIP網への円滑なマイグレーションなど、数々の重要課題に取り組む富永総合通信基盤局長に話を聞いた。

 

――安倍内閣は成長戦略を掲げていますが、総務省では2020年に向けて、どう取り組んでいますか。

富永 2016年6月に閣議決定された「日本再興戦略2016」では、政府の目標として、「モバイル分野の競争促進」や「IoTに対応するための情報通信インフラの高度化・周波数確保」
などが掲げられています。要は、情報通信関連の整備を「しっかりやりなさい」ということですね。

それで今、まず力を入れているのが、モバイル通信のよりよい提供です。MVNOを含めたモバイル市場が競争によって健全に発展し、利用者がより高度で多様なサービスを、より低廉な料金で、より自由に選択できる状況になるよう、様々な取り組みを進めています。

――2015年秋に安倍総理が携帯電話料金の家計負担の軽減を図るように指示したのがきっかけでした。

富永 現在のモバイル市場は、大手3グループに集約され、「協調的寡占」とも指摘される状況にあります。そうしたなか、「実質0円」やそれをさらに下回るキャッシュバックなどの行き過ぎた端末購入補助が行われ、頻繁に端末を買い換える一部の利用者が恩恵を受ける一方、多くのライトユーザーや長期利用者にとっての不公平につながっていました。さらに、MVNOの新規参入・成長への阻害を招くおそれもありました。

――そうした状況を是正するため、2015年12月にライトユーザー向けプランの導入を要請、2016年4月には端末購入補助の適正化のためのガイドラインを策定するなどの取り組みを行ってきました。

富永 これらの取り組みの結果、大手の携帯電話事業者(MNO)においては、従来と比較して最大1600円低廉なライトユーザー向けプラン、最大1000円の長期利用割引などが導入されました。また、MNOの半額以下で利用できるMVNOも、1年間で300万契約以上増加し、急速に拡大しつつあります。端末の値引き競争から、料金・サービスを中心にした健全な競争に変化しつつあると思っています。

――変化は着実に起きていると。ただ、その一方で、ガイドラインの“抜け穴”を利用した、行き過ぎた端末購入補助が一部で続きました。

富永 ガイドラインで成果もありましたが、その適用後の状況も踏まえ、見直しをしていくことも必要です。ですから、実態を見ながら、フォローアップしていくことが重要だと考えています。

総務省 総合通信基盤局長 富永昌彦氏 


――そこで10月から11月上旬にかけて開催されたのが、「モバイルサービスの提供条件・端末に関するフォローアップ会合」でした。

富永 「MVNOの拡大を通じた競争の加速」と「利用者による通信サービスと端末の自由な選択」。フォローアップ会合では、この2つの観点から議論いただき、その結果、次の4点に今後取り組むことになりました。

第一に、MVNOがさらに料金を低廉化しやすくするため、春までに省令を改正し、モバイル接続料の低廉化を図ります。

第二に、SIMロック解除をより早期にできるようにします。現在、端末購入から約6カ月かかっているのを100日程度に短縮し、端末を買い換えずに事業者を変更しやすくすることが目的です。

第三に、利用者が、利用実態に対応したプランを選択できるよう、携帯電話事業者や代理店が適切な説明を行うことをルールとして整備し、その徹底を図ります。

そして第四に、一部ユーザーへの過度な端末値引きによる多くのユーザーの通信料金の高止まりや利用者間の不公平を解消するため、端末販売のさらなる適正化を行います。2~4点目については、関連するガイドラインの改正手続きを進めており、1月上旬までにこれを終える予定です。

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著者プロフィール

富永昌彦(とみなが・まさひこ)氏

1957年4月生まれ、奈良県出身。東京大学大学院工学系研究科修了。82年4月に郵政省(現総務省)に入省後、移動通信課長、電波環境課長、電波政策課長などを歴任。2008年7月独立行政法人情報通信研究機構理事、12年9月総務省東北総合通信局長、13年6月総合通信基盤局電波部長、15年7月大臣官房総括審議官(国際担当)を経て、16年6月に総合通信基盤局長。現在に至る

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