森川東大教授が語った「M2M」の可能性と未来[後編]「膨大なM2Mデータが“場”になり、巨大市場が立ち上がる!」

最近、ビッグデータの観点からも注目が集まっている「M2M(Machine to Machine)」。そのM2Mのキーパーソンである東大の森川博之教授はM2Mの可能性と未来をどう考えているのか。後編では、M2M市場の有望エリアや飛躍のための糸口を紹介する。

(前編はこちら

日本のICT産業にとって非常に大きなチャンスであるM2M。しかし今はまだ「可能性」にとどまっているのも事実だ。都市計画、環境、農業、流通など、非常に多岐にわたる領域での活用拡大がM2Mには期待されているが、巨大市場創出の糸口は一体どのあたりにあるのだろうか。森川教授の講演では、その具体的なヒントもいくつか示された。

「190兆円」のインフラ維持・更新費

森川教授がまずスクリーンに映し出したのは、赤い点が多数広がった日本地図である。この赤い点が示すのは、現在は人が住んでいるが2035年までに無人化するエリア。「今、日本人が住んでいる面積の20%が無人化する」という国土交通省による衝撃的な予測だ。

2035年までに日本の居住地の約2割が無人化する怖れがある
2035年までに日本の居住地の約2割が無人化する怖れがある

このような将来予測を前にして森川教授は「無人化すると、国土が荒れるし我々の生活環境も荒れてくる。何かやりたい」と考え、2年ほど前から農業、酪農、林業など一次産業とICTの可能性を探り始めているという。

このうち農業については、作業をほぼ全自動化、センサーデータを活用して生育状況や出荷時期などを管理しているオランダのグリーンハウスのケースをビデオで紹介。M2Mによって、農業ビジネスは大きく変革できることを示した。

次に森川教授が取り上げたのは「190兆円」という数字だ。これは、今後50年にかかると推計されている社会インフラの維持・更新費である。東京オリンピックの頃に作られた社会インフラが更新時期を迎え、莫大なコストがこれから必要になると見られているのだ。

60~70年代に建設された社会インフラの更新投資が今から本格的に顕在化してくる
60~70年代に建設された社会インフラの更新投資が今から本格的に顕在化してくる

そこで森川教授が提案するのがM2Mの活用である。橋や水道管などにセンサーを取り付け、M2Mにより劣化状況をリアルタイムにモニタリングすることで、維持・更新費の最適化に役立てられる。

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