NTTドコモは2012年4月27日、2012年3月期期末決算を発表した。営業収益は前年度比0.4%増の4兆2400億円、営業利益は同3.5%増の8745億円と8期ぶりの増収増益となった。
NTTドコモ代表取締役社長の山田隆持氏 |
2011年度はスマートフォン販売が好調で、販売台数は882万台と前年度より3.5倍と大幅に伸びた。特に3月は単月としては過去最高となる167万台に上ったという。合わせてパケット収入も拡大し、前年度比8.8%増の1兆8439億円となった。
2012年度は営業収益が5%増の4兆4500億円、営業利益は3%増の9000億円を達成することで2期連続の増収増益を目指す。
増収増益の原動力の1つとなるのが「スマートフォン・Xi販売促進による純増数の拡大」で、2012年度はスマートフォンの販売目標を1300万台とする。このうち約750万台は「Xi」対応になる見込み。第3四半期に800MHz帯と1.5GHz帯でXiを提供するほか、一部地域では今年度中に1.5GHz帯を利用して下り最大112.5Mbpsのサービスの提供を開始する。
総合力を活かしてMNPの改善や純増数の拡大を目指す |
2011年度の純増数は約212万と前年度比10%増となったものの、MNPによる他社への流出は約80万件に上った。山田隆持社長は「2012年度はMNPによる流出を半分にしたい」と話す。他社に流出したユーザーを対象に行った調査によると、移行理由はiPhoneへの機種変更が20%で、残り80%は端末価格の安さやキャッシュバックを挙げているという。このためドコモは端末価格を従来の2万~2万5000円から、1万~1万5000円程度に値下げするほか、実質ゼロ円端末なども投入して他社製品と同等にすることで対抗する。
ただ、「泥沼の競争は避けたい」(山田社長)として、「端末」「ネットワーク」「サービス」「価格」「安心・安全」の総合力を活かすことでMNPによる流出を抑えるとともに、純増数を約280万まで伸ばしたい考えだ。
山田社長は2011年度について「総合サービス業へ発展するための顧客基盤の拡大に寄与できたのではないか」と振り返った上で、2012年度は「これまでの取り組みを加速させる年にしたい」と抱負を語った。
なお、会見後に記者団からiPhone発売の可能性につい質問された山田社長は「通信キャリアとしてはネットワークに付加価値を付けたいが、アップルは垂直統合モデルであり、我々のモデルと相対している。また、iPhoneを取り扱うとボリュームコミットメントが要求されるはずで、ドコモの基本戦略に合致しない。現状ではiPhoneの導入は厳しい」との見解を示した。