「現場営業マンと上司に相乗効果」 リンベルのタブレット活用術

カタログギフトのリンベルでは、営業職にタブレット端末を導入することで営業日報の活用度が向上。カタログの電子化により、営業担当者の負担軽減にもつながっているという。

結婚式の引き出物や結婚・出産の内祝い、香典返しなど冠婚葬祭に欠かせないカタログギフト。そのパイオニアとして知られるリンベル(本社:東京都中央区)では、約2万アイテムの商品を取り扱い、年間の発送量は約700万個に上る。

同社は2011年2月、NTTドコモのタブレット端末「GALAXY Tab」を10台導入した。「営業日報の活用度を高めるとともに、デジタルカタログを提供することが目的」と、常務取締役・販売事業本部長の細谷光弘氏は説明する。

常務取締役 販売事業本部長 細谷光弘氏 営業開発事業本部 企画営業部 ECグループ課長 大川和弘氏

リンベルが扱うカタログギフトは、全部合わせると300種類以上になる。各種媒体への掲載情報などのニュースリリースも商談時に活用するので、営業担当者は膨大な量の資料を持ち歩かなければならない。外出先から営業日報を入力するためにノートPCも携帯しているが、かさばるうえ、出先で立ち上げて報告書を作成するのは手間がかかり、負担になっていた。

そうしたなか、ドコモからタブレットを活用した業務支援システムの提案があった。かねてより社長が「iPad」に親しんでいたが、Flash対応など画像表示機能が充実している点に加えて7インチと持ち運びに便利なサイズであること、さらにはドコモの通信品質に対する高い信頼からGALAXY Tabを採用することが決まり、まず役員や営業担当者が実際に現場で利用して効果を検証した。

震災もタブレットで乗り切る

リンベルでは全国の百貨店や量販店、ギフト専門店と取引があり、営業担当者は各店舗を定期的に回っている。訪問時にはカタログの乱れを直したり、サンプルを入れ替えた後、店内の様子を端末に搭載されているカメラで撮影し、営業日報に添付して送る。

報告を受ける上司もタブレットを持ち歩くことで、外出先からでもリアルタイムに部下の報告に目を通してコメントを入力できるようになり、迅速に指示を出すことが可能になった。顔を合わさなくても、上司は「誰がどこで何をしているのか」部下の行動を把握しやすくなる一方、部下は「上司が自分の仕事を見てくれている」と実感でき、励みになるという相乗効果が生まれた。導入以前に比べて、入力率は格段にアップ。効果的な情報共有が図れるようになったという。

顔を合わせなくても、スマートフォンやタブレットで営業日報を活用することで、お互いの行動を把握しやすくなったという [クリックで拡大]

また、カタログをPDFにして電子化したものをタブレットに入れることで、コストをかけずに営業担当者の負担軽減を実現した。デジタルカタログは共有サーバーにデータをアップすれば更新作業を行えるので、「常に最新のカタログに掲載している商品を閲覧できるメリットがある」と、営業開発事業本部・企画営業部ECグループ課長の大川和弘氏は話す。さらに、「商談や提案時にインパクトのあるプレゼンテーションができたり、先進的なツールを使いこなしていると取引先に好感を持たれる」(細谷氏)といった思わぬ効果も生んでいる。

ところで、タブレットの導入直後に東日本大震災が発生。交通網の復旧が待たれるなか、リンベルは入出荷・包装・のし加工を行う物流拠点を山形市から一時的に東京へ移し、既存の輸送ルートでは解決の難しい納品遅れを回避すべく体制を整えた。その際に活躍したのがタブレットで、数台を仮の物流拠点に配し、Webメールで連絡を取り合うなどして乗り切ったという。

月刊テレコミュニケーション2011年12月号から再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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