PayPayドームのスマート化へ、ソフトバンクがマルチネットワークの実証実験

ソフトバンクは2024年4月3日と4日に福岡PayPayドームで開催された福岡ソフトバンクホークスのホーム開幕戦において、マルチセンサーとマルチネットワークを活用したリアルタイムAR演出の実証実験を実施し、成功したと発表した。

4G/5GネットワークとBLEによるマルチネットワークを活用したリアルタイムAR演出の様子(ソフトバンク発表資料より)

4G/5GネットワークとBLEによるマルチネットワークを活用した
リアルタイムAR演出の様子(ソフトバンク発表資料より)

PayPayドームのスマートスタジアム化を目指して、以下の2つの実証実験を行った。

1つは、VPS(Visual Positioning System)とBLE(Bluetooth Low Energy)によるマルチセンサーを活用したARナビゲーションだ。

VPSはカメラからの画像情報を通して、デバイスの位置や向きを測定する技術。一方のBLEも、ビーコンが送信した信号をデバイスが受信することで位置情報を測定したり、情報を送信したりすることができる。だが、スマートスタジアム化を促進するに当たっては、球場やアリーナなどの屋内施設で来場客の位置情報を測定するのに課題があった。VPSは、通路やコンコースなど似たような景観が続く場所での測位精度が低く、BLEビーコンは数が少ないと大まかな位置測定しかできない。

そこで、VPSとBLEを組み合わせることで、速やかに精度の高い位置情報を測定できるかを実証実験で確認した。

VPSとBLEによるマルチセンサーを活用したARナビゲーションの構成

「VPSとBLEによるマルチセンサーを活用したARナビゲーション」実証実験の構成

PayPayドームの通路に複数のパネルとBLEビーコンを設置。実証実験参加者がパネルに近づくと、BLEビーコンが送信した信号により速やかにおおよその位置情報を測定し、ARグラスを通してVPSでパネルを認識することで、より精度の高い位置情報を測定する。

測定した位置情報に基づいて、パネルにホークファミリー(福岡ソフトバンクホークスの球団マスコット)がARで現れ、参加者が彼らにハイタッチすると、観戦席までのナビゲーションがARグラスに表示される。通路に設置した複数のパネルで同様に表示される道順に従って進むことで、参加者を目的地へ誘導する仕組みだ。

実証の結果、参加者は目的地であるスーパーボックスまで到着。VPSとBLEを組み合わせることで、似たような景観が続く屋内であっても速やかに精度の高い位置情報を測定できることを実証した。

もう1つの実証は、4G/5GネットワークとBLEによるマルチネットワークを活用したリアルタイムAR演出だ。

来場者にリアルタイムにAR演出を体験してもらうためには、デバイスへの演出開始信号の送信に関して次の課題を解決する必要があった。4G/5Gネットワークについては、同時に信号を送信すると、デバイスの数によっては混雑が発生して信号を受信できないデバイスが発生。一方、BLEではカバーできる範囲が限定的だった。

そこで、BLEビーコンの信号が届かないデバイスに対して4G/5Gネットワークを利用することで、複数のデバイスが同時に演出開始信号を受信できるかを実証した。

4G/5GネットワークとBLEによるマルチネットワークを活用したリアルタイムAR演出

「4G/5GネットワークとBLEによるマルチネットワークを活用したリアルタイムAR演出」実証実験の構成

コンテンツをあらかじめスマホに保存しておき、試合の5回裏終了後に、4G/5GネットワークとBLEの双方から演出開始信号を送信。この信号に基づき、参加者はグラウンドでの演出時に、ARグラスを通してリアルタイムにAR演出を鑑賞。4G/5GネットワークとBLEを組み合わせることで、複数のデバイスが同時に演出開始信号を受信できることを実証した。

ソフトバンクは今回の実証実験で得た知見を生かして、PayPayドームのスマートスタジアム化を促進するとしている。

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