ソフトバンクのコネクテッドカー戦略 Cubic Telecomへの出資で“デファクトスタンダード”を目指す

ソフトバンクは、IoTプラットフォームを展開するCubic Telecomを子会社化し、コネクテッドカー事業のさらなる強化を図る。さらに、同社が持つNTNやAI技術などを融合させたサービス開発も視野に入れる。

「100年に1度の大変革期」を迎えているとも言われる自動車業界。「CASE(C:コネクテッド化、A:自動化、S:シェアリング、E:電動化)」という4つのトレンドにより、自動車の概念が大きく変わろうとしている。

このうち、最も進展が早いのが“C”、つまりコネクテッドカーだ。マッキンゼー・アンド・カンパニーによると、2030年までにグローバルで販売される新車の95%がコネクテッドカーになり、MVA(市場付加価値)は最大60兆円に到達する。

ただコネクテッドカーの開発は、自動車メーカー1社で完結できるものではない。通信環境を整備・提供する通信事業者との連携が不可欠である。

ソフトバンクとホンダは、かねてよりコネクテッドカー技術の共同研究を進めてきた。2019年には、ホンダの研究開発子会社である本田技術研究所が持つ北海道上川郡のテストコースに実験基地局を設置し、5G環境下でのコネクテッドカーの技術検証を行った。2021年には、5G SA(StandAlone)とセルラーV2X(Vehicle to Everything)を活用して事故リスクの予測や情報通知を行うユースケースの検証を実施している(図表1)。

図表1 セルラーV2Xを活用した事故リスクの予測や情報通知を行うユースケースの検証イメージ

図表1 セルラーV2Xを活用した事故リスクの予測や情報通知を行うユースケースの検証イメージ

2023年12月、ソフトバンクはコネクテッドカー事業のさらなる強化に向け、コネクテッドカーおよびSDV(Software Defined Vehicle)向けIoTプラットフォームをグローバル展開するアイルランドのCubic Telecom(キュービックテレコム)にソフトバンクの上場以来“過去最大級”の約747億円を出資し、子会社化した。SDVとは、スマホやPCのようにソフトウェアをアップデートすることで、機能やサービスを拡充できる自動車を指す。「コネクテッドカーとSDVの未来を今後ソフトバンクのグループ企業とシナジーを生み出しながら、この成長市場において世界トップクラスのシェア獲得を目指す」。ソフトバンク 法人事業統括 グローバル事業本部 新規事業統括部 統括部長の工藤裕哉氏の鼻息は荒い。

ソフトバンク 法人事業統括 グローバル事業本部 新規事業統括部 統括部長 工藤裕哉氏

ソフトバンク 法人事業統括 グローバル事業本部 新規事業統括部 統括部長 工藤裕哉氏

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