楽天モバイル、NEC、インテルの3社は2021年6月25日、コンテナ化したSA(スタンドアロン)方式の5Gコアネットワーク(以下、5GC)の性能試験において、User Plane Function(以下、UPF)の性能が業界最高水準のスループットである640Gbpsを達成したと発表した。この5GCは、楽天モバイルとNECが共同開発しており、「Rakuten Communications Platform」(以下、RCP)上で稼働している。
一般的な4Gネットワークではコントロールプレーン(以下、C-Plane)とユーザプレーン(以下、U-Plane)は統合されているが、5Gネットワークではこれを完全に分離することで、拡張性の高いUPFが実現できる。これにより、プライベートネットワーク、エッジコンピューティング、ハイブリッドクラウドなど、様々な導入形態の展開が見込める。楽天モバイルは、4GネットワークにおいてすでにC-PlaneとU-Planeを分離させたCUPS(Control and User Plane Separated)を導入するなど、ネットワークの立ち上げ当初から5Gアーキテクチャーを採用している。
今回、コンテナ化されたSA方式5GCにおけるUPFの1サーバー当たりのスループット640Gbpsは、東京都内の研究施設において測定されたものだ。
NECは、通信とITに関する高度な専門性を用いて、通信業界における最先端の製品開発を行い、CPUの使用率とメモリの高速アクセスを最大化。また、インテルのAIアクセラレーション機能を備えた第3世代インテルXeonスケーラブル・プロセッサーや、DDP(Dynamic Device Personalization)機能を備えたデュアルポート100Gbインテル・イーサネット・ネットワーク・アダプターE810-2CQDA2など、最新の高性能インフラストラクチャーが活用されている。楽天モバイルは、「RCP」上でコンテナを導入した環境を構築し、高速処理を行うことにより、「RCP」が持つ全自動化を活かしながら、トラフィックの特性に応じてエッジデータセンターからセントラルデータセンターまでUPFを俊敏かつ柔軟に展開することを可能にするなど、コンテナ化されたUPFのスループット高速化は3社の協力関係によるという。
3社は、オープンで完全にクラウドネイティブでコンテナ化されたSA方式5GCの共同開発を通じて、世界規模でモバイル通信技術の革新を推進し、日本および世界中のユーザーに高品質な5Gネットワーク技術を提供することを目指していくとしている。