――世界は今、大きな変革期にありますが、そうしたなかジュニパーネットワークスも変化のときを迎えているのでしょうか。
古屋 この2~3年、ジュニパーはグローバルでかなり大きな変化を遂げてきました。
ジュニパーというと以前はサービスプロバイダー(通信事業者)、さらにはクラウドプロバイダーのお客様に強みを持っているメーカーという印象が大きかったと思います。
しかし、デジタルトランスフォーメーション(DX)が進展し、データの流れがクラウドに向かっているなか、エンタープライズのビジネスがこの数年、加速度的に伸びています。クラウドでの技術が、今度はエンタープライズで求められているからです。
私たちは元々持っていたサービスプロバイダーネットワークの技術をベースに、クラウドのネットワークを構築してきました。ジュニパーは設立当初からマルチベンダー環境をサポートし、なおかつディスアグリゲーション(機能分離)されたオープンなソリューションをコンセプトに開発してきました。このオープンというコンセプトが北米の大手クラウドプロバイダーのニーズにぴたりと合致したのです。
クラウドプロバイダーの環境は、単一のネットワークベンダーのソリューションでは構築できません。また、DevOpsの考え方で迅速にネットワークの設計やサービスのリリースが行える環境を必要とされており、自動化を大変重視されています。こうした要求を実現するのに、ジュニパーのソリューションが大変適していたのです。
そして今、エンタープライズのデータの流れはますますクラウドへと向かっており、企業ネットワーク自体がクラウドへと移行していくような状況が発生しています。
この流れの中でエンタープライズは小さなクラウド、すなわちオンプレミスのデータセンター環境を構築する必要に迫られています。
ジュニパーはクラウドで培った技術により、データセンターは非常に得意です。マルチクラウド接続についてもサービスプロバイダーで培った技術がありますので当然得意です。こうした関連性により、エンタープライズ市場をどんどん開拓していける状況にあるのです。
――実際、どれくらいエンタープライズの売上は伸びているのですか。4年前に古屋社長にインタビューしたときは、ジュニパーの売上全体に占めるエンタープライズの割合は3割ほどとのことでした。
古屋 この2~3年、エンタープライズビジネスはグローバルで伸びており、ジュニパーの売上全体に占める割合も4割くらいに近づいてきました。あとはサービスプロバイダーが4割超、クラウドプロバイダーが2割弱という売上構成です。非常にバランスが取れてきたと見ています。
オンプレのクラウド、マルチクラウド接続に加えて、コロナの影響によって昨年からはリモートワーク環境整備のニーズも非常に高まっています。また、コンシューマーの方々のネット使用率も上がっており、サービスプロバイダーのネットワーク需要も大変伸びています。加速度的に進むDXをサポートするなか、ジュニパーのビジネスも堅調に成長しています。