OKIは2020年12月から「ローカル5G支援サービス」の提供を開始した。メニューは大きく、①総務省への免許申請手続きを支援する「無線局免許申請支援サービス」、②電波伝搬特性を計測し、通信エリア検討のためのデータを取得する「無線通信環境確認サービス」、③ローカル5Gの置局設計を含めたネットワーク設計などを行う「無線ネットワーク設計サービス」、④実際にローカル5Gネットワークを構築、性能評価し、最適化する「システム構築サービス」の4つに分かれ、さらにユーザーのプロジェクトの進捗や技術レベルに合わせて柔軟に対応するという。
「ローカル5Gはキャリア5Gと技術的に同一アーキテクチャーで、技術、商品、ノウハウなど共通化できるところが多くあります。通信キャリアや法人向けビジネスに長年取り組んでいるOKIは、リソース共通化により効率的に事業を推進・展開することができます。更に今後は、O-RANやネットワーク機能のオープン化など今までのベンダロックインが解消され、様々なベンダーの機器を組み合わせたシステム構築・運用技術が必要となると考えています。マルチベンダーの機器を扱い多様なネットワークビジネスに取り組んできたOKIにとっては多くのプロフェッショナル人材を活かしたソリューションベンダーとしての腕の見せ所といえます」とソリューションシステム事業本部 エグゼクティブ スペシャリストの佐々木玲氏は同社の強みを説明する。
また、OKIは建設、インフラ、交通、海洋、防災、金融、流通、製造など様々な業種のお客様と長年にわたって信頼関係を築いてきた。5G/ローカル5G事業においても、「まずはインストールベースのお客様に、5Gソリューションを水平展開していくことでDXを支援していきたい」考えだという。
図表1 OKIのローカル5Gへの取り組み
図表2 ローカル5G 支援サービスの概要
ローカル5Gのユースケースとして特に注力するのが「製造現場」だ。実際に、自社の本庄工場にローカル5Gの実験試験局を開設し、スマート工場を実現するための実証実験を進めている。
「今年度は主にローカル5Gの技術検証と課題抽出に取り組んでいます。既に工場でローカル5Gの電波がどのぐらい飛ぶかというデータを取得し、電波の伝搬特性や基地局の最適な配置など多くの知見が得られました。引き続きAIエッジコンピューター(以下、AIエッジ)と組み合わせ、屋内外でSub6、ミリ波の実証実験を進めています。まずは自社で使ってみて効果を確認した上で、お客様へソリューションを展開していきます」(佐々木氏)。
Sub6では、製造現場に設置した高精細カメラの映像をAIエッジに送信、判定し、製品の外観検査の自動化を図る。ミリ波は自動運転支援の実証に利用する。屋外にあるITSテストコースにおいて、カメラやLiDARで検知した運転手の死角の情報をAIエッジで処理し、ミリ波で移動中の車両に送信するというものだ。
図表3 製造現場でのローカル5G×エッジAIの利用イメージ
2021年度はこれらローカル5GとAIエッジを組み合わせたソリューションの商用販売に向けた準備を進めるが、まずは製造業における検査工程の自動化ソリューションを販売していく計画だ。「お客様のスモールスタートから本格展開への拡張を想定した冗長構成や増設への対応およびO-RANや3GPPリリース16 などの標準化への対応を進め、お客様の商用環境をしっかりとサポートできるようにしていきます」と同社 ソリューションシステム事業本部 IoT事業推進センター 部門長 浜口雅春氏は話す。