2021年度から5G SA(スタンドアロン)の導入を計画するソフトバンクとKDDIが相次いで、5Gコアネットワーク(5GC)に関する発表を行った。12月8日にソフトバンクがノキアの「クラウドネイティブ5Gコア」を選定したと発表。2日後にはエリクソンが、KDDIが同社の「クラウドネイティブデュアルモード5Gコア」を採用したとアナウンスした。
この“クラウドネイティブ”とは、何を指しているのか。
一言で言えば、クラウドサービスで主流となっているコンテナやマイクロサービスを使ってネットワーク機能を実現するものだ。2014年頃からLTEコア(EPC)に導入されてきたNFV(ネットワーク機能の仮想化)の発展型と言える。
2021年は、このクラウドネイティブ化が加速し始める年となる。その波は、5GCから無線アクセスネットワーク(RAN)へ、さらにはローカル5GやMEC(マルチアクセスエッジコンピューティング)、企業向けサービスまで広がっていく。
なぜコンテナ化するのか5Gでは、従来の仮想ネットワーク機能(VNF:Virtual Network Functions)とは異なり、コンテナ化されたネットワーク機能(CNF:Cloud-Native Network FunctionsまたはContainerized Network Functions)を仮想基盤上で動かす。その管理はコンテナオーケストレーションシステムのKubernetesで行うのが主流になる。
コンテナ化の利点は大きく3つある。まず、マイクロサービスの集合体としてネットワーク機能を実現することで、サービスごとに開発・機能追加を行い、開発・展開のサイクルを迅速化できることだ。
2つめは可用性/スケーラビリティの向上だ。ハイパーバイザー型(VM型)の仮想化と比べて、コンテナは起動・再起動が速い。NFVのように起動の度にOSを立ち上げ、リソースを割り当てる必要がないためだ。オーバーヘッドが少なく、VM型に比べてリソースの利用効率も高い。そのため障害復旧時間を短縮でき、需要変動に応じて特定の機能を持つコンテナを複製してスケールさせるのも容易だ。
このように軽量かつ起動・再起動が高速なため、ネットワーク機能のモビリティ性も向上する。基地局設備やエッジサーバー、CPE(宅内通信装置)等にネットワーク機能を容易に展開できるのだ。
VNFと同様、CNFも5GCから導入が始まっているが、RANの仮想化(vRAN)やMECの展開にCNFを活用する動きも本格化してきている。