<特集>2030年のネットワークシスコが描く「データ中心NW」への道筋 5GもWi-Fi 6も自在に乗り換え

オペレーターが異なる様々なネットワークを自在に組み合わせられれば、ネットワークはもっと使いやすくなる。そんな縛りのないネットワークを目指す動きが加速している。シスコが考える実現シナリオとは――。

ネットワークはこの先、どんな進化の道筋を辿るのか。

ユーザーの使いやすさの観点から言えば、提供者・運営者が異なる様々なネットワークを自在に組み合わせ、最適な形で使い分けられる柔軟性をいかに実現するかが鍵になる。シスコシステムズ 業務執行役員の河野美也氏は、コネクションに依存しない“データ中心型アーキテクチャ”への転換が必要と強調する。「これまでのネットワークは“Connection Intensive”だったが、アクセス手段が多様化し、データもマルチクラウドやエッジクラウドに散在化していくと、コネクションに紐付かない新しい通信の考え方が必要になる」

データを扱うという目的に最適化した“Data Intensive Network”だ。

シスコシステムズ 業務執行役員 情報通信産業事業統括 ディスティングイッシュドシステムズ エンジニア 河野美也氏

シスコシステムズ 業務執行役員 情報通信産業事業統括
ディスティングイッシュドシステムズ エンジニア 河野美也氏
(写真はシスコ主催イベントにて撮影)

マルチアクセス/マルチパスを実現5G/IoTの普及に伴い、アクセス手段の多様化とデータの散在は急速に進行する。「Cisco Annual Internet Report(AIR)」は、インターネット利用者が2018年の38億から2023年に53億へ、デバイス数は184億から293億へ急増すると予測する。特に日本ではIoT/M2Mの伸びが著しく、1人当たりのデバイス数は11に達する見込みだ(世界平均は3.6個)。

無線通信の需要はこれまで以上に高まり、5GやWi-Fi 6、LPWAなど様々な無線通信が使われる。もちろん、固定通信が廃れることもない。「これまでも、モバイルの需要が高まると同時にWi-Fiや固定のトラフィックも増えてきた。5Gのカバレッジが広がるまではLTEやWi-Fiとの併用が重要だし、5G普及後もそれは変わらない」(河野氏)。

そして、データは様々なクラウドに集められ、エッジコンピューティングの普及により各所に散在することになる。こうした世界では、ネットワークオペレーターや通信方式に依存した現在の環境は非効率だ。そうした縛りから脱した「マルチアクセス/マルチパスの需要が高まる」と河野氏は指摘する。Wi-Fi 6と5Gを用途によって使い分ける、バンドルするといった使い方が当たり前になる、5G/Hetnet(Heterogeneous Network)時代が到来する。

月刊テレコミュニケーション2020年8月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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