NTTは2020年4月16日、IOWN構想の実現に向けた技術開発ロードマップを公開した。IOWN構想とは、オールフォトニクス・ネットワークを活用した次世代ネットワーク。伝送・交換処理を光信号のまま行うことで、従来にない低消費電力、高速高速信号処理などが期待されている。
今回のロードマップでは大きく4つの方向性が示された。
(1)大容量低遅延データ通信方式
パケット伝搬遅延による最大可能データ転送レートの低下を軽減しながら、従来のTCP/IP方式と比べて大容量データの転送時間を大幅に短縮する。OSI参照モデルにおける、Layer4/Layer3での高速通信方式を開発する。また、これによる通信量のさらなる増大に対応するための光や無線アクセスの大容量化方式の開発にも取り組む。
(2)データセントリック型ICTインフラの実現
センサノードやAI分析ノードなどのノードの間の大容量データの交換・共有を低遅延に、効率的に実現するコグニティブファウンデーションデータハブを開発する。
また、このデータハブを中心として多種多様なネットワーク、コンピューティング手段を連携させるアーキテクチャを推進するという。イメージは下図の通り。
(3)多地点、超高速、低遅延クラウドコンピューティングの実現
多数のデータセンタがシームレスにまたがったクラウドコンピューティングインフラを実現するため、オールフォトニクス・ネットワーク上の通信の高速性、低遅延性を活かした高速分散コンピューティング方式を開発する。
(4)ICTインフラにおけるエネルギー効率の飛躍的向上
コンピューティングのモジュール間、パッケージ間、チップ間のデータ伝送を段階的にこれまでの電気ベースから光ベースへと置き換えながらデータ伝送の経路を簡略化する。これにより、大幅なエネルギー効率の向上を実現する「フォトニックディスアグリゲーテッドコンピューティング技術」を開発するという。
|
IOWN技術開発のロードマップ |
これらの技術により、NTTでは大容量データを低遅延に伝達しながらAI制御を行うことにより、ヒトの知覚能力、反射能力を超越したシステム制御が実現しうるとしている。また、多数のAIシステムの協調により、社会規模の全体最適化や大規模シミュレーションを通じた未来予測が実現するという。