28GHz帯でいち早く始めるべきか、それとも4.5GHz帯の“解禁”まで待つのか。LTE設備の導入も必要なNSA(Non Stand Alone)と5G単独で使えるSA(Stand Alone)のどちらを選ぶべきで、NSAの場合はLTEにどの方式を使うのか――。
ローカル5Gの導入を検討するに当たっては、これらの点を整理する必要がある。無線アクセス(RAN:Radio Access Network)とシステム構成の選び方、使い方を整理しよう。
第1のポイントは、周波数帯の選択だ。28GHz帯と4.5GHz帯はその伝搬特性により、適用できる利用シーンが異なる。
システム構成として、5G設備だけで使えるSAと、制御信号を送受信するアンカーとしてLTE設備も必要なNSAのどちらを選択するかも悩ましいポイントだ。LTEと5Gを異なる用途で併用する場合を除き、5Gの性能だけが必要なケースならば「SAでやりたい」がユーザーの本音だろう。
NSAの場合、アンカーに用いるLTE設備にも複数の選択肢がある。アンカーも自営網とするなら自営BWAが最初の選択肢となるが、加えて、非免許帯域の1.9GHz帯を用いる自営用LTE規格sXGPも候補になり得る。sXGPを使ったプライベートLTEソリューションを展開するビー・ビー・バックボーン 専務取締役の播口仁朗氏によれば、「正式決定はまだだが、1.9GHzもアンカーバンドで使えるようになる方向で審議中」だ。
「28GHz帯で先行」狙う企業も先行して制度化される28GHz帯よりも、4.5GHz帯のほうが面カバーが容易で扱いやすいこともあり、ローカル5Gを検討するユーザーの動きは大きく2つに分かれている。28GHz帯で「とにかく早く検証、PoCを始めたい」グループと「4.5GHz帯の利用開始を待つ」グループだ。
NEC 新事業推進本部 部長の田中雅士氏によれば、「お客様の多くはサブ6(4.5GHz)を検討している」状況だが、28GHz帯で早期導入を狙う企業も増えてきているようだ。「我々の検証結果などを見て『これなら28GHzでもいける』と、早めにPoCを検討するケースも出てきている」(同氏)
NECが開発・提供するプライベートLTE/ローカル5G向け基地局
これにはモバイルキャリアが行っている5G実証実験の成果が大きく影響しているという。NECも2018年末に大林組、KDDIと共同で建機の遠隔作業実験に成功。つながりにくいとされる28GHz帯で、2台の建機による連携作業を行った。
新事業推進本部長の熊谷智憲氏は、「28GHz帯をうまく使うには、端末側に電波を捉えるための仕掛けがいる」と話すが、そのノウハウを活かすことで建設現場だけでなく、障害物の多い「工場内でも十分に使える」目処が立っているという。複数のユーザーとの間で、早期にローカル5GのPoCを開始する計画が進んでいる。