「2018年のNB-IoTの通信モジュールの出荷数はグローバルで1200~1300万台。その約9割が中国向けとなっている」
調査会社のテクノ・システム・リサーチでマーケティングディレクターを務める丹羽健氏は、2018年のLPWA世界市場のトピックとして、まずNB-IoTが大きな伸びを見せたことを挙げる。
同社の調査によると、NB-IoT、Cat.M1(LTE-M)、Cat.1に非セルラー系のSigfox、LoRaを加えた主要なLPWA規格の2018年の通信モジュール出荷台数は、前年の3300万台を大きく上回る8300万台。このうち、中国で2017年末から商用サービスが始まったNB-IoTが、一気に15%のシェアを占めたのである。
急伸の背景には、中国政府がNB-IoTを推進しており、これを受けて通信事業者も利用拡大のため、ユーザーに補助金を出しているという事情もある。「当初は中国だけで5000万~1億台はいくのではないかという見通しが通信事業者から語られていた」(丹羽氏)というから、期待ほどではなかったにせよ、急成長であることに変わりはない。
図表 世界市場におけるセルラーLPWA及び主なアンライセンスLPWA端末市場予測
対照的に、NB-IoTと同じく2016年に3GPPで標準化されたもう1つのセルラーLPWA、Cat.M1のほうは動きが鈍い。
「2017年前半にAT&Tやベライゾンが商用サービスを開始した米国では、ユーザー側でのトライアルを経て、最近ようやく市場が立ち上がってきたところ。一方、米国以外ではほとんど商用で動いておらず、モジュールの出荷数もグローバルで100万台ほどにとどまっている」(丹羽氏)
セルラー系で2018年のモジュール出荷数が最も多いのはCat.1だ。前年の約900万台の2倍超となる2200万台に達する見通しである。Cat.1は、LTEのデバイスを簡素化したIoT通信向けの規格で、NB-IoTやCat.M1とは異なり既存のLTEインフラを改修せずにそのまま利用できることから、普及が進んできている。
Cat.1はLPWAが注目される以前から存在する技術だが、NB-IoT/Cat.M1に用いられている省電力機能(eDRX、PSM)が近年実装されるようになったため、丹羽氏はLPWAに準じるものとして扱っている。