「AIを賢くする重要な要素がデータだ。データがなければ学習も推論もできない」――。
日本ヒューレット・パッカード(以下、HPE)の中野理恵子氏が「第5回 IoT/AIビジネスカンファレンス」で講演の中心テーマに据えたのは、AIに不可欠な大量のデータを蓄積・管理するデータストアの技術トレンドだ。
HPEが提唱するデータストアのコンセプト「ライトミックスデータストア」を用いることで、クラウドへの移行や新技術の導入にも柔軟に対応できる「AI/IoT時代のデータストア」を実現できるという。
日本ヒューレット・パッカード Pointnext事業統括 ソリューション開発本部 中野理恵子氏
AI/IoT時代のデータストアに求められる要件大量データの蓄積・管理を可能にするデータストアは、かつてはRDBMS(リレーショナルデータベース管理システム)と同義であった。しかし近年、クラウドの発展に伴い、その選択肢は非常に幅広くなっている。
「Azureで提供されているデータストアのサービスは10カテゴリ12種に及ぶ。また、AWSはデータベースで6種、ストレージとしてS3など5種類のサービスが提供されており、サービスによってはさらにメニューが細分化している」
データベースの技術全体を見ても、拡張性に優れ、大量の非構造化データの管理に対応できる「オブジェクトストレージ」、マルチワークロードを同時にサポートする「トランスティカル(Translytical)データベース」など、新しい技術が登場しており、「こうした数多くの選択肢から適切なデータストアを選ぶのは大変だ」と中野氏は語った。
多様なデータストアの技術・サービスの中から、何を選択し、どのように活用するかが、AI/IoT時代のデータプラットフォームを構築する上で重要なポイントになっているのだ。
では、AI/IoT時代のデータストアに求められる要件は何か。
「目まぐるしく変化する市場環境に対応するため、必要な要件を計画的に定義する『計画駆動型』から、とにかく始めてサイクルを回しながら要件を固めていく『変化駆動型』にビジネスモデルが変化してきている。AI/IoT時代のデータストアには、変化駆動型のビジネスモデルに対応できる能力が求められる」
中野氏はこう説明したうえで、次の4つの要件を挙げた。
①必要なデータを必要な時に必要な形式で提供できること
②データの即時利用を実現できること
③多種多様なサービス・技術から適切に選択できること
④新技術へのシフトが可能であること
そして、これらの要件を満たすアプローチとして、HPEが提唱するのが「ライトミックス(適材適所)データストア」である。