ソフトバンクは2018年10月25日、5G(第5世代移動通信システム)に関するデモンストレーションを東京・芝大門で実施した。
今回は、ソフトバンクが同エリアに構築している5Gの実験環境を利用して行われた。200m間隔で設置した5G基地局(実験用)の間を5G端末を搭載した2台のバスが移動。片方で撮影した4K 360度映像を5G経由で伝送し、もう片方のバスでリアルタイムに4Kモニターやヘッドマウントディスプレイで視聴するというもの。
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今回のデモのイメージ |
5Gの候補周波数帯である4.7GHz帯の100MHz幅を使い、ビルが立ち並ぶ都市部特有の厳しい環境下ながら、バスが停止状態のときには約2Gbpsの速度が出ており、安定したエリア構築が可能であることを実証した。
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ビルが立ち並ぶ都市部の厳しい環境下でも、建物の反射などを利用し十分なエリア構築が可能だという |
また、移動時には複数の基地局をまたぐためハンドオーバーを繰り返したが、映像が途切れることもなかった。
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ハンドオーバー時も映像が途切れることはなかった |
高精細な映像を移動中のクルマでダウンロードする実証実験は、他社でも行われているが、移動しながらリアルタイムに伝送する点が画期的だという。ソフトバンクでは、救急車で患者を搬送する際に医師も移動中であるような場合、5G経由で映像を伝送し、病院に到着するまでの間の医療行為に役立てるといった実用的なユースケースを想定している。
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バスに設置された5Gアンテナ |
今回は、どの基地局からも距離が離れているため電波が弱く、パフォーマンスが低下するセルエッジにおける伝送試験も行われた。LTEでは電解強度が落ちると、大容量・高精細映像を送信することは難しい。これに対し、カバレッジの弱い状況でも伝送できるのが5Gの特徴であり、基地局から700mほど離れた場所にあるバスからでも映像を送ることが可能だ。
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バス車内の5G端末 |
ソフトバンクは赤坂でも5Gの実証環境を作り、様々な実験を行っている。5Gについては来年夏に一部サービスを開始する計画で、それに向けて実証実験が活発化しそうだ。