今回の試乗会で用いられた車両は、ソフトバンクグループのSBドライブが所有する仏Navya社の「NAVYA ARMA(ナビア アルマ)」。レベル4の完全自動運転をサポートするEV(電気自動車)で、運転席は備わっていない。同社によれば世界25カ国で走行実績があり、これまでに約10万人が乗車しているという。
仏NAVYA社の「NAVYA ARMA」。座席は11席で、天井には吊革も4つ備わっている。乗車定員は15名
一般向けの試乗会に先立ち行われた報道向けの試乗会では、約40mの直線コースを走行。車両内にあるコントロール画面で行先を指定すると、指定場所まで時速5km程度の低速で自動的に走行して止まる、というかたちで行われた。
自動走行を可能にするため、NAVYA ARMAには多数のセンサーが搭載されている。現在位置の把握には通常GPSを用い、数センチレベルでの測位が可能という。また、複数のLiDAR(レーザースキャナー)で車両の周辺や走行方向にある障害物や人を認識(下図を参照)。歩行者が飛び出した際にも、それを検知してストップする。
なお、安全対策として車両内には緊急停止ボタンが備わっており、コントローラを使った手動運転にも対応している。
LiDARによる人・障害物検知のイメージ
SBドライブは国内ですでに3度、NAVYA ARMAを使った試乗会を開催しており、合計1300人以上が参加している。これまでは東京都芝公園や東大柏キャンパスの敷地内、および北海道上士幌町で実施したが、今回は東京23区内の公道で行われた。
ARMA車内の様子。右の画面で行先を指定する
説明員によれば、今回は新たな取り組みとして、GPSを用いずに現在位置を把握する新たな仕組みを用いているという。試乗会を実施した道路は高層ビルに挟まれた位置にあるため、GPS電波の受信が難しいためだ。
そこで、走行ルートと周辺の建物の形状等を予め登録しておき、それを基にセンサーで現在位置を測定しながら走る新たな手法を試した。自動運転車の実用化に向けては、このようにGPSが使用できない状況も想定した技術開発・検証が不可欠であり、「複数の方式を用意しておくことで実用化に近づく」と説明員は話した。