PCやスマートフォン、プリント基板、液晶パネルなど、様々なICT製品の“工場”として知られる台湾で今、「アジア・シリコンバレー計画」が動き始めている。
シリコンバレーのように、持続的にイノベーションが生まれるエコシステムを作り、IoT分野で様々なイノベーションを起こしていこうというプロジェクトだ。
このアジア・シリコンバレー計画の推進拠点として選ばれたのが桃園市である。
「これまで桃園市の重要な産業というと、ICTのハードウェアの製造だった。しかし今後は、よりサービスに近い、“IoTの分野につなげていきたい”というのが私の思いだ」
来日した桃園市政府 経済発展局 局長の朱松偉氏はこう語った。
日本企業と台湾企業がアジアのシリコンバレーで共同開発アジアを代表するハブ空港の1つ、桃園国際空港のある桃園市。最近は交通機関の発達に伴い、首都である台北市とも同じ生活圏を形成しており、人口成長率は全国ナンバー1だ。
また、産業面においても、工業生産額で14年連続全国ナンバー1。市内には30の工業区があり、ICT関連以外では航空機、電気自動車、バイオなどで高い実績を持っている。
都市と産業の「バージョンアップ」を目指しているという桃園市
このように伸び盛りの桃園市をアジアのシリコンバレーにするための具体策の1つが、企業間交流を促進するためのイノベーションセンターの開設だ。
B2C領域におけるIoT応用ソリューションの展示・デモサイトである「アジア・シリコンバレーイノベーションセンター」、B2B領域を対象にした「IoTイノベーションセンター」、ベンチャー企業の創業支援・イノベーションを行う「国際青年起業ビレッジ」の3つの拠点を桃園市内に設ける。
デモサイトとイノベーションセンターを桃園市に設置
これにより企業間の交流を活性化し、IoT関連のイノベーションを加速させるのが狙いだが、今回、桃園市政府の朱局長らが来日した目的の1つは、日本企業の参画を促すことにある。
IoTソリューションで先行する日本企業と、ハードウェア製造に強みを持つ台湾企業がパートナリング。IoTソリューションを共同開発し、日台が連携してアジア市場へ事業展開しようというシナリオを描いている。
日台の企業が連携してアジア市場の開拓へ