「Android端末の日本投入に意欲」――モトローラ小倉社長インタビュー

KDDIからのLTE受注、Android端末の発表など、復調を印象づけるニュースが最近相次いだモトローラ。小倉社長は今後、4本柱で日本市場に臨んでいくと意気込む。Android端末の日本市場投入も検討するという。

――誰がKDDIのLTE基地局ベンダーに選ばれるのか。非常に大きな注目を集めていましたが、その座を勝ち取ったのはモトローラとNECの2社でした。20年にわたりKDDIのインフラを支えてきたモトローラとしては「当然の結果」という感じですか。

小倉 皆さんからそう言われるのですが、当然なんてことはまったくありません。KDDIさんは今回、数多くのベンダーに声をかけられており、モトローラもその中のベンダーの1社でしかなかったのですから。

もちろん20年の経歴、経験、貢献で築き上げた信頼関係はありました。また、現存するCDMAのシステムを最も熟知しているのは我々だという自負もありましたし、そのレガシーシステムを土台として効率的にLTEへと移行していくためのアイデアについても自信を持っていました。そのうえで、積極的にアプローチしてきた結果だと考えています。

――実績をベースにした総合力で獲得したわけですね。

小倉 モトローラが日本でビジネスを始めてから47年になります。これだけ長く生き残ってきた外資系メーカーは我々が唯一ではないでしょうか。なぜ生き残れたかといえば、それはやはり経験や貢献、信頼ですよね。逆にいえば、信頼を裏切らない仕事をやってきたということです。

――ところで、モトローラが長年にわたり貢献してきたCDMAオペレーターにはベライゾンワイヤレスも挙げられます。しかし残念ながら同社のLTE案件を獲得したのはアルカテル・ルーセントとエリクソンの2社でした。

小倉 これまでさまざまな貢献をしてきたのですが、難しかったですね。ただ、今後の展開によってはベンダーを追加される機会もあると思いますので、その際には必ず選定いただけるよう、引き続き対応していきます。

――モトローラは、中国移動(チャイナモバイル)が導入予定のTDD版のLTE、TD-LTEにも注力していますね。今年10月にジュネーブで行われたITUテレコムワールド2009では、世界で初めて2.6GHz TD-LTEの屋外走行デモをライブで披露しました。

小倉 中国は我々にとって非常に重要な市場であり、なかでもチャイナモバイルとは深い関係にあります。ですから、TD-LTEの開発にも気を緩めません。

また、我々はLTEだけでなく、WiMAXも推進してきました。米クリアワイヤのほか、チリ、ドイツ、バングラデシュ、パキスタンなどで、公表できるだけでも38のオペレーターに納入しています。また、WiMAX CPE(宅内装置)も100万台出荷したことを発表しています。

――次世代インフラの構築は今まさに本格化しようというところですが、キャリアインフラ市場の見通しが明るいかといえば、決してそうとは言えません。

小倉 アルカテルとルーセント、ノキアとシーメンスが合併し、さらに破産法を申請したノーテルは解体の過程にあります。しかし、合従連衡はまだまだ続くでしょう。システムの質はどんどん向上していきますが、投資そのものは絞られていく方向にあるのですから、生き残るには合従連衡に向かわざるを得ないと考えています。

月刊テレコミュニケーション2009年12月号から転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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小倉紳治(おぐら・しんじ)氏

1972年沖電気工業に入社。88年日本モトローラ社(当時)に入社し、営業統括本部長を経て2000年3月に携帯電話インフラ事業部門の副事業部長、同年6月に取締役同事業部長、02年9月に常務取締役グローバル・テレコム・ソリューション事業部長などを歴任。05年1月に代表取締役社長に就任

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