人を惹き付け、短時間に多くの情報を伝えるビデオは、今やコミュニケーションに欠かせないものとなった。動画は撮って記録するだけのものから、動画配信サービスやチャット/SNSに投稿して情報を発信するためのツールに変わってきている。
企業でも同様の動きが広がっている。様々な部署・従業員がビデオを投稿して視聴し合う“社内YouTube”を作り、WordやPDF文書、PowerPoint資料の代わりにビデオで情報を共有するのだ。
経営トップが従業員にメッセージを伝える、営業マンへの製品トレーニングを行う、会議に参加できなかった社員が録画を見る、成果を上げた社員がノウハウを発表するなど、その用途は幅広い。
最大の障壁はネットワーク最近では誰でもPCやスマートフォンで動画を撮影でき、ファイルサーバーに保存すれば簡単に共有も可能だ。だが、企業内で効果的にビデオを使うには解決すべき問題も多い。
最大の課題がネットワークだ。アクセスが集中すれば大量のトラフィックが発生してWAN/LANの帯域が逼迫する。人気コンテンツが誕生した途端にネットワークがパンクし、他の業務アプリが停止する事態にもなりかねない。また、権限に基づいた投稿・視聴制限、コンテンツ管理も重要だ。むやみに情報が拡散したり、古いビデオが残り続けたりしないように、管理を効率的に行える仕組みも求められる。
こうしたニーズに応えるものとして、米国を中心に普及しているのが「エンタープライズビデオ」だ。ビデオ配信・管理に必要な一連の機能を提供するもので、社内専用のポータルで従業員がコンテンツを選んで視聴するビデオ・オン・デマンドのほか、ライブ配信も可能だ。
提供するベンダーも米国企業が大半で、中でも、VISA、Fedelity、BARCLAYS、JPモルガン等の金融、製薬大手のGSKやバイエル、製造ではCaterpillarやフィリップス、通信事業者のAT&T、ボーダフォン、ベライゾン、BTなど豊富な納入実績を持つのが米Qumuだ。
Qumuの企業向けビデオ配信・管理ソリューションのポータル画面。YouTubeと同じ感覚でビデオの配信・視聴が行える。視聴者がコメントを投稿することも可能で、社内SNS的な機能も果たす |
Qumuを日本で展開するアイスタディの代表取締役社長である小山田佳裕氏は「最初は苦戦したが昨年、国内でも一気にユーザーが増えた。日本のお客様にもビデオが受け入れられ始めた実感がある」と話す。富士通、IIJといったIT企業を皮切りに、製造や物流にも導入が広がっているという。