IoTの世界で今、最も注目を集めるテクノロジーの1つであるLPWA。SIGFOXとともに、そのリーダー的存在といえるのがLoRaだ。
「LoRaはどこで運用されているのか。すでに39のオペレーターが公式に展開しているほか、250以上のトライアルや都市での展開も行なわれている。また現在、LoRa Allianceには465くらいのメンバーがいる。なぜこれが大事なのか。いろいろなデバイスが作られていくためには、非常に活発なエコシステムが必要だからだ」
LoRaの展開状況。黄色が正式アナウンス済みの国・地域、オレンジがそれ以外
「IoTネットワークの未来に向けたロードマップ・LoRaがもたらす新しいIoTの世界」と題して講演したLoRa Allianceのギャリー・ステュービング氏は、LoRaの現状をこのように紹介した。
LoRa Alliance Tresurerのギャリー・ステュービング(Gary Stuebing)氏。所属するしシスコシステムズでは、IoT Standards Manager, Office of the CTAOを務める |
LoRaによる位置情報サービスに高い関心低消費電力や広いエリアカバレッジ、低コストの通信モジュールを特徴とするLPWAは、LoRaだけではない。では、「LoRaは何が特徴的なのか。セキュリティに非常に時間をかけて取り組んでいる」と説明した。
「我々が得意のもの」として、もう1つ強調したのがジオロケーションサービスである。「スイスでは、牛にLoRaデバイスを付けた事例があるが、牛がどこに行ったのか、その位置情報を割り出すことができる」
位置情報の精度は、ルーラル地域で20から50メートルの誤差、都市部で120から200メートルの誤差だという。
「そのデバイスが今どこにあるかを追跡できるジオロケーションへの関心は最近、非常に高まっている。ゲートウェイの数が増えれば、精度も上がる」
LoRaのジオロケーションサービスの概略
大事なのはLPWAで何を達成したいかこのようにLoRaの特徴をアピールしたステュービング氏だが、一方でこうも話した。
「よく聞かれるのは、『LoRa、SIGFOX、5Gなど、たくさんの技術があるが、どれを使えばいいのか』という質問だ。しかし、大事なのは、自分たちが何を達成したいのか。現実問題として、それぞれに適した使い方があるわけで、そこを見極めていくことが大切だ」
さらに、非常に多くのユースケースがあるIoTにとって、「たくさんの技術が台頭していることは良いこと」としたうえで、「LoRaは非常に素晴らしい技術だが、LoRaがすべての問題を解決するとは考えないでほしい」と語った。