記者会見ではまず社長執行役員の久保田則夫氏が、2016年度について振り返った。グローバルでの売上高は前年比26%増の12.8億ドル。元NSA幹部のフィル・クエイド氏が、フォーティネットのCISO(最高情報セキュリティ責任者)として加わったのが大きなトピックだったという。
また、日本法人での最大のトピックは、新オフィスへの移転とのこと。以前のオフィスは、技術と営業などが別フロアに分かれていたが、今はワンフロアに社員一同が揃い、コミュニケーションスピードが向上しているという。
ちなみに、新オフィスの場所は以前と同じ六本木。シスコ日本オフィスがある東京ミッドタウンの向かいのビルだ。
セキュリティファブリックとは?グローバルでは、2020年までにNo.1のセキュリティアプライアンスベンダーになることを目標にしているというフォーティネット。
ところが、日本ではすでに売上額・出荷台数の両方でシェアNo.1を達成している。そのため、グローバルを先行く展開を行っていきたいというが、それで注力するのが「セキュリティファブリック」というコンセプトの早期実現だ。
フォーティネットの国内でのシェア
ファブリックは布・織物のこと。ネットワーク業界では、複数の物理スイッチを仮想的に1台として扱えるソリューションのことをよくファブリックというが、フォーティネットのファブリックは意味合いが異なっている。「1本1本の糸を強くつなぎ合わせていくという意味」と久保田氏は説明した。
サイバー攻撃はますます高度化している。これに対応するには、境界型セキュリティだけでも、ベンダー1社だけでも不十分――。そこで、APIを介した他社製品との連携であったり、NOC/SOCへの脅威インテリジェンスの提供、無線LANや有線LANといったアクセス製品との連携、IoTやクラウドのセキュリティなど、さまざまな要素をしっかりと糸でつなぎ合わせ、高いセキュリティを実現しようというコンセプトのようだ。「いろいろなものをつなぎこんでいく」と久保田氏は語った。
セキュリティファブリックの概念図
また、副社長兼マーケティング本部長の西澤伸樹氏は、「病院にたとえると、総合病院を目指すというのがセキュリティファブリック。『うちは外科なので、内科はよそに行ってくれ』とは言わないというのが基本的な会社の方向性。例えば、IoTが心配というお客様ともしっかりお付き合いできるようになる」とした。
フォーティネットは、セキュリティファブリックのコンセプトを説明する3つのキーワードも挙げている。1つめは「BROAD(幅広い)」で、ネットワーク、エンドポイント、アプリケーション、クラウドなど、あらゆる攻撃対象を包括的に保護するとともに、他のベンダーのソリューションまですべて可視化するとしている。
2つめは「POWERFUL(高性能)」。独自の高速なセキュリティプロセッサを活用してインフラの負荷を軽減し、パフォーマンスを低下させることなく包括的なセキュリティを実現するという。
3つめは「AUTOMATED(自動化)」で、ファブリック内のすべてのデバイス間で素早く脅威インテリジェンスを共有し、脅威に対して迅速に協調的な対応を行うとのことだ。