富士通研究所は2017年1月26日、LTEと無線LANの接続制御技術を開発したと発表した。同技術を利用すれば、LTEエリア内にある無線LANサービスの通信速度を向上させられるという。
従来、無線LANユーザーの通信速度を向上する方法として、無線LANアクセスポイントが接続可能なユーザー数を制限したり、端末が自律的にLTEに接続を変更したりすることで、通信速度の低下を抑える技術が実用化されてきた。
しかし、それらの従来技術は、他の端末の影響を考慮せずに各端末が独自に通信経路を決定する。そのため、無線LANアクセスポイントの近くに高負荷通信を行うユーザーが集中する状況でも無線LANが選択されたり、無線LANを利用可能なユーザーが少ないにも関わらずLTEが選択されたりするなど、かえって通信速度が低下してしまうことがあった。
従来技術(通信品質が悪い場合にLTEに接続)の課題 |
今回、同研究所が開発した技術は、複数端末の通信経路を一括で自動設定する接続制御技術だ。端末に専用のアプリケーションをインストールすると、専用アプリはクラウド上の接続制御機能と通信する。接続制御機能は、複数端末の接続を同時に変更した場合の通信速度を予測し、その結果に基づいて無線LANサービスエリアに存在する各端末の通信経路を設定する。
開発した接続制御技術 |
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従来技術と今回開発した接続制御技術の通信速度を比較したところ、開発した接続制御技術は平均で約2倍、通信速度が向上できることを確認したという。
今後、富士通研究所は、「本技術を利用したより大規模な実証実験を行って安定性を向上させるとともに、2018年度の実用化を目指す。また、第5世代移動通信方式向けの無線アクセス技術も選択可能とする機能拡張を進め、2020年度以降の実用化を目指す」と述べる。