ホワイトボックススイッチは元来、ハードとOSをユーザーが自分で選んで調達し、組み合わせて使うものだが、それでは使いこなせるユーザーが限られる。そこで、SIerがユーザーの要望に応じてこれらを組み合わせて販売したり、ホワイトボックススイッチやOSの提供ベンダーが提携し、OS搭載済みのホワイトボックススイッチを提供する形が主流となってきている。
例を挙げると、国内では伊藤忠テクノソリューションズがいち早く、2014年からCumulus LinuxとPenguin Computing等のホワイトボックススイッチを組み合わせて提供している。
また、ベンダーの提携に関しても、例えばIP Infusionは、Agema SystemsやEdgecore Networks、Interface Masters、デルとパートナーを組んでOcNOSを提供している。反対に、Accton Technologyの子会社であるEdgecore NetworksやHPも、Cumulus Linux、PicOSなどのOSを搭載可能にして、ユーザーのニーズに応えている。
ブライトボックスを戦略の柱にこのように、国内でも販売体制が整ってきているホワイトボックススイッチだが、そうした中、注目すべき動きが出てきている。“明るい箱”を意味するブライトボックススイッチだ。
これは、ホワイトボックススイッチの新たなカテゴリとしてデルやHP、Edgecore Networks/Accton Technology等が提唱しているもので、ホワイトボックススイッチとOSを組み合わせて提供するのに加え、そこにデルやHPのサポートを組み合わせることで、ユーザーがより使いやすい形でホワイトボックススイッチを提供するのが狙いだ。ホワイトボックススイッチのコスト競争力や拡張性・柔軟性を活かしつつ、ユーザーは、グローバルに販売・サポート網を持つベンダーのバックアップが受けられる。
日本HPでネットワーク事業統括本部・技術統括本部・本部長を務める佐藤重雄氏は、「日本を含むアジアの複数のユーザーとすでに話を進めているが、日本のお客様は特にクオリティアシュアランスを求める。『品質向上の取り組みをきちんと進めてくれるのか』というその要求にきちんと応えられることは我々の最大の強みで、SIerにも、ハードウェアだけのベンダーにもできないこと」と話す。
HPはHPE Altolineを販売する一方、オープンソースOSの「OpenSwitch」の開発も主導してきた。今後はホワイトボックススイッチを、データセンター向け戦略の軸に据える方針だ(図表)。
図表 HPのクラウドデータセンターネットワーク戦略 |
そのための準備も着々と進んでいる。すでに1GEから100GEまでラインナップを揃えるHPEAltolineスイッチをさらに拡充。また、OpenSwitchをベースとした新OS「クラウドネットワークOS」も近々リリース予定だ。現在、国内の販売体制を構築中で、今年8月以降には「既存のHP製品と同じように当社のパートナーが取り扱える状態になる」という。