「人間の言語は、最も強力なインターフェースだ。あらゆるコンピュータが人間の言語を理解したら、世界はどう変わるだろうか。私たちが住んでいる世界を、大きく変えることができる」
米マイクロソフトCEOのサティア・ナデラ氏は2016年5月24日、都内で開催中の開発者向けイベント「de:code 2016」の基調講演に登壇。このように日本の開発者に対して話しかけ、「Conversation as a Platform」は世の中に非常に大きなインパクトをもたらすと訴えた。
米マイクロソフト CEO サティア・ナデラ氏 |
Conversation as a Platform(プラットフォームとしての会話)とは、米マイクロソフトが今年3月に米国で開催された開発者向けイベント「Build 2016」で発表した新コンセプトである。
「インターネットが普及して以降、場所や時間の制約を取り払う努力がずっと続けられてきた。ECサイトでどこでも買い物ができるし、モバイルでどこでも電話がかけられる。しかし、もう1つだけ制約を取り払いたいものがある。それがアプリケーションの操作。次世代のインターフェースとして会話を重視しようというコンセプトだ」
Conversation as a Platformについて、同じく基調講演に登壇した日本マイクロソフトCTOの榊原彰氏はこう説明した。すでにマイクロソフトは、すでにConversation as a Platformを体現するサービスとして、音声アシスタント機能の「Cortana」などのチャットボットを提供している。
Conversation as a Platformでは、単に会話形式でコンピュータとやりとりできるだけではない。チャットボットは、機械学習などのコグニティブコンピューティング技術により、「その人の交友関係や好きなものなども学習」(榊原氏)。その相手のコンテキスト(文脈)を踏まえた対応が可能だ。
日本マイクロソフトが提供する女子高生AI「りんな」のデモも行われた。りんなはLINEとTwitter上で活動中。マイクロソフト以外のサービスとも広く連携しようというのが、同社の戦略だ |
マイクロソフトは、このConversation as a Platformの世界を広げていくため、外部の開発者に対して、ボット開発のフレームワークやコグニティブ技術を活用するためのAPIをオープンに提供している。
例えば、Microsoft Cognitive Servicesでは、音声認識やテキスト分析、顔認識など22のAPIが用意され、ボットなどのアプリケーションにAI機能を組み込むことが可能だ。