[前編]働き方変革推進する企業に
[中編]Office 365にすると何が良い?
マイクロソフトは2014年、米国で新たなパートナープログラムである「Cloud Solution Provider(CSP)」を開始し、2015年から日本でもこれを推進している。その目的は、パートナーのクラウドビジネスへの転換を加速することだ。
日本マイクロソフトの越川氏は、「クラウドビジネスに取り組むハードルを低くして売りやすくする仕組みがCSP。戦略的に、マージンやインセンティブといった面での販売メリットもクラウドのほうを厚くしていく」と話す。
マイクロソフトがクラウドを軸とした戦略へ転換したことで、既存のパートナーは従来の“売り切り”のライセンス販売から、サブスクリプションモデルへとビジネスの転換を迫られる。
だが、短期的には売上減となるだけに、特に営業の現場は簡単に変わることはできない。また、「1000社」を目標に掲げる新規パートナーの獲得においても、より魅力的な施策は不可欠だ。
CSPは、これまでは取り扱う製品・サービスごとにパートナー契約が必要だった形態を改め、包括的に複数の商材を扱えるようにした新プログラムだ。CSPパートナーはOffice 365、Azure、CRM Online、そしてデバイス管理の「Enterprise Mobility Suite(EMS)」を再販することができる。
また、パートナーが、ユーザー企業に対する導入支援やトレーニング、サポート等のサービスと組み合わせて販売することでより多くのマージンが獲得できる仕組みになっている。
「クラウドを売ったほうが、確かに売上高は少ないが、インセンティブやマージンはクラウドのほうにより多くシフトしている。販売価格は低くても、利益としてはクラウドのほうが高くなるケースは十分あり得る」と越川氏は話す。
CSPではインセンティブ制度も見直されており、単純な販売量に加えて、販売したユーザーの「利用量」も評価の対象とされる。こうしたメリットの理解が広がるに連れて「CSPの数は日本でも飛躍的に伸びている」という。
柔軟な売り分けが可能にもちろん、従来のライセンス販売型のパートナープログラムも継続しており、パートナーは商談によって双方を使い分けている。
マイクロソフトのクラウド戦略が他のクラウドベンダーと大きく異なるのは、「決してすべてがクラウドに行くとは考えていない。オンプレミス型も、両方を組み合わせたハイブリッド型もお客様が選択できるようにラインナップを揃えることを基本的な方針としている」ことだ。
CSPというクラウドビジネスへの新たな入口ができたことで、パートナーがオンプレミス、クラウド、ハイブリッドの3形態を柔軟に使い分け、売り分けできる環境が整ったわけだ。
越川氏は、Skype for BusinessとIP-PBXの組み合わせでUCを提案・販売してきたパートナーにも、このCSPを入口としてクラウドビジネスへ参画することを呼びかけている。そうしたパートナーにとっては、PBXとSkype for Businessに加えて、Office 365を新たな商材として販売できるようになる。Office 365のみを販売するIT系のパートナーとは、PBX連携やUC提案で差別化したビジネスも展開できるだろう。