モバイルアイアン アジア太平洋・日本担当セールスバイスプレジデントの柳下幹生氏によると、エンドユーザーコンピューティングでは2つの大きな動きが起きているという。1つは企業においてSalesforceやboxなどといった企業向けのクラウドだけでなく、DropboxやGoogleドライブなどのコンシューマ向けクラウドも利用され、様々なクラウドが融合していること。
もう1つはデバイス側の話で、iOSとAndroidに加えてWindows 10がエンドユーザーコンピューティングのなかに入ってくること。「Windows 10は完全にモバイル型のOSで、スマートフォンとタブレット端末、PCのすべてをサポートする。アーキテクチャ的にモバイルOSになっているため、モバイル型のセキュリティソリューションが必要とされる」と柳下氏は説明する。
Windows 10のアップデートは、iOSやAndroidと同様にスマートフォンなどのボタン1つで完結できるように進化するという。「Windows 10が企業で利用され始めると、エンドユーザーコンピューティングに大きな変化が生じる。こうしたことを踏まえてCSSをリリースした」(柳下氏)。
これからのエンドユーザーコンピューティングのイメージ |
セキュリティをドキュメントに紐付け
CSSはオンプレミスとクラウドの環境においてシームレスなコンテンツセキュリティを提供するものだ。具体的には、モバイルアイアンのEMM(エンタープライズモビリティ管理)のポリシーサーバーに、コンテンツセキュリティサービスのポリシーを強制するサーバーを追加することで実現する。このためCSSの利用には、モバイルアイアンのEMMの導入が前提となる。
CSSの全体イメージ |
「今のコンテンツセキュリティにはアーキテクチャ的な問題がある」と柳下氏は言う。例えばMicrosoft SharePointには、アップロードやダウンロードの禁止や、ある日数を経たら自動的に文書が削除されるなどといったコンテンツセキュリティポリシーがあるが、これらはSharePointだけに適用される。
ユーザーのニーズはクラウドでコンテンツサービスを利用することにまで広がっており、そうなるとSharePointだけではなく、クラウドサービスごとにセキュリティポリシーを当てていかなければならない。CSSを活用すれば、クラウドを含めたファイルレポジトリーに同じセキュリティポリシーを適用することができるという。
「これまではそれぞれのコンテンツサービスにバーティカルにセキュリティポリシーを当てていたが、CSSを利用することで従来の企業レポジトリーとクラウドレポジトリーに共通なセキュリティポリシーを割り当てることができるようになる」(柳下氏)
CSSではドキュメントにセキュリティを紐付ける |
従来のモデルでは、セキュリティはストレージに紐付けられるため、オンプレミスとクラウドの間を行き交うドキュメントに共通したセキュリティポリシーを当てることは難しかった。だが、CSSを利用したコンテンツセキュリティの新しいモデルでは、セキュリティはドキュメントに紐付けられる。そのため、ドキュメントがどのレポジトリーにあっても共通したセキュリティポリシーを割り当てられるのだという。