――M2M/IoT市場の現状をどうみていますか。
谷 まさにこれから市場が拡大していく段階とみています。ある調査データによりますと、国内のモバイルM2M回線数は2013年度に約1000万だったものが、2014年度には35%増の1350万になる見込みですが、同様の感触を持っています。
1000万回線の内訳を用途別で申し上げますと、現在、一番多いのはコンシューマー向けのフォトフレーム、ゲーム機などです。次に多いのは、業種を問わず活用される遠隔監視や遠隔管理で、たとえばスマートメーター、ビル設備管理、駐車場管理、セキュリティなどの用途で利用されています。三番目に多いのは車両の位置情報や動態管理、そして四番目は自販機に代表されるような在庫・売上管理という状況になっています。
普及の鍵はコストと省電力
――2015年の見込み、またそれ以降のM2M市場はどう伸びると予想していますか。
谷 これから数年間、M2M市場は年率2~3割増しでどんどん回線数が増えていくだろうと考えています。国内のモバイルM2M回線数は2014年度には1350万回線の見込みですが、2015年度には1730万回線くらいになるでしょう。そして2018年度には3000万回線くらいになると予想しています。
また、M2Mの特徴はそのネットワークがグローバルに広がるところにありますが、グローバルでは2018年には6億回線になると見ています。
この予測回線数は、セルラー回線に繋がっているモジュールの数です。今後はそのモジュールをゲートウェイとして、その先に多数のセンサーが繋がってくる形になると考えています。
これからどのように発展していくかにもよりますが、1つのセルラー回線モジュールに対して、だいたい5から10のセンサーが繋がるとすると、M2M/IoT全体としては、セルラー回線数の5倍から10倍の規模になってきます。それらを計算すると、2020年のM2M/IoT市場はIDCやガートナーが予測している300億、そしてシスコシステムズやインテルが予測している500億デバイスといった数字が出てきます。
M2M/IoTデバイスが普及するには二つの条件があります。一つは安くなること、もう一つは消費電力を抑えることです。そのためにインフラ面では機能を限定した安価で超省電力な通信モジュールが必要ですし、通信面ではセルラーに加え、BluetoothやWi-Fi、ZigBee、Wi-SUNなど近距離無線の活用も必要です。