OKIの丸井氏は、ワークスタイル変革が今求められている理由を3つ挙げる。
1つめは会社の経営課題を解決するため。事業のグローバル化とそれに伴う社員の働き方の変化、そしてITセキュリティの高度化などへの対応が迫られている。
2つめはオフィスツールの基盤整備を行うため。コミュニケーションやコラボレーションの基盤を見直すだけでなく、ビッグデータを活用するための基盤を作ったり、ハイブリッドクラウドを各種基盤と組み合わせたりする必要がある。
3つめは働く人の価値観が変化しているため。働きやすい仕事環境や相手に対して思いやりを持つオープンなコミュニケーション、ワークライフバランスなどの提供が求められている。
OKI 通信システム事業本部 企業ネットワークシステム事業部 事業部長 丸井武士氏 |
現在、ほとんどの企業では、決まった勤務時間や勤務場所、いつも同じデバイスを使って働くのが一般的だが、「いつでも、どこでも、どんなデバイスを使っても働けるようにすることがワークスタイルの変革につながる」と丸井氏は主張する。
いつでも、どこでも、どんなデバイスを使っても働けるようにすることがワークスタイルの変革につながる |
時間・場所・デバイスがコミュニケーション阻害の3大要素
どのようなワークスタイルを目指すにせよ、重要なのが社内外とのコミュニケーションだが、丸井氏によれば、コミュニケーションを取る上で制約となるファクターとしてはまず“時間”が挙げられるという。勤務時間や移動時間、海外拠点との時差などだ。この制約を取り払うため、移動時間や待ち時間に業務を行ったり、直行直帰を認めたりすることが求められている。
また、深夜や早朝に海外拠点とコミュニケーションを取るために勤務時間に幅を持たせたり、在宅勤務を認めたりすることも重要だ。「こうしたことを実行することで、意思決定のスピードがアップし、ビジネスにスピードを持たせられる」
“時間”によるコミュニケーションの制約と変化 |
“場所”もコミュニケーション上の制約となる。勤務場所がホームポジションとなるが、自宅や出張先、移動中などでも働ければ効率よく業務を進められるようになる。丸井氏は、「その実現手段としてテレワークがあるが、導入している企業はまだ少ない」と指摘したうえで、在宅勤務について、集中力が高まることで勤め先で働くよりも2割ほど生産性が高まるというデータもあることを紹介した。
また、「出張先や移動中に業務を行うモバイルワークやサテライトオフィスの活用、フリーアドレスを導入することも検討課題に挙げたい。それらを行うことでBCP対策にもなる」と丸井氏は強調した。
さらに、“デバイス”もコミュニケーション上の制約となる。PCの持ち出しが禁止だったり、社内用と社外用の電話が別だったり、タブレットの使用が限定的だったり、個人端末の業務利用が禁止だったりといったことである。
これらの制約の解決策としては、セキュリティツールの利用でデバイス管理を行ったり、FMCなどで社内外の電話端末を共通化したり、タブレット端末用のコミュニケーションツールを利用したり、MDMを利用してBYODを実現したりするといったことが挙げられるという。