三井不動産とAshiraseは2026年10月2日、屋内ナビゲーションサービス「IndoorFlow」に関する記者説明会を開催した。
IndoorFlowは、スマートフォンのカメラで周囲の環境を認識して現在地を把握し、GPSが届きにくい地下・屋内空間でも音声案内やAR表示により目的地までの移動を支援するナビゲーションサービスだ。
両社は10月1日、東京メトロ三越前駅の地下道と、そこに直結する商業施設でIndoorFlowの一般利用を開始した。IndoorFlowの実装は、日本橋エリアでは今回が初めてとなる。
GPSが届きにくい屋内の「迷う」を解消

Ashirase 代表取締役CEO 千野歩氏
Ashiraseは、靴に装着したデバイスの振動で進行方向を伝える視覚障がい者向け歩行ナビ「あしらせ」を提供している。Ashirase 代表取締役CEOの千野歩氏によれば、IndoorFlowはあしらせで培った技術を屋内に広げたもので、利用者から寄せられた「屋内は特徴に乏しく、1人では歩けない」という声が開発のきっかけになったという。
千野氏は、こうした屋内移動の難しさの背景として、GPSの電波が届きにくく現在地を正確につかみづらいことに加え、地図やバリアフリー情報の不足を挙げた。「屋外ではナビゲーションサービスが普及し、地図データも流通している。一方、屋内の地図データは施設ごとに管理されているケースもあり、一般的なナビゲーションに利用できる形には十分に整備されていない」。段差や手すりの有無、トイレの位置など、移動に欠かせないバリアフリー情報の拡充も遅れているという。

位置情報のデジタル化状況
天井などに通信機器を設置するビーコンやWi-Fiを使った屋内ナビも開発されてきたが、「まだまだ一般的に広がりきっていない」(千野氏)。IndoorFlowは施設に機器を設置する必要がない点が特徴だ。
スマホカメラとVPSで屋内の現在地を特定
IndoorFlowの基盤となるのが、カメラ画像から現在地を割り出すVPS(Visual Positioning System)だ。VPSとは、あらかじめ撮影した空間の画像データと、スマートフォンなどで撮影した現在の周囲の画像を照合し、現在地を特定する技術である。
今回実装した日本橋エリアでは、Ashiraseが事前に対象エリアを360度カメラで撮影し、点群データを含む空間データを作成。来館者がIndoorFlowのスマートフォンアプリを起動してカメラで周囲をスキャンすると、このデータと照合して現在地を特定する仕組みだ。さらに、スマートフォンのセンサーで歩行時の動きも捉え、カメラだけに頼らず位置を高精度に推定するという。

「IndoorFlow」の利用イメージ
位置精度に加え、利用者に合わせた経路の提案と情報の伝え方も特徴だ。
「車いす利用者にはエレベーターを優先するなど、利用者の条件に応じてルートを出し分ける。案内はARや2次元マップのほか、視覚障がいのある方には音声とスマートフォンの振動で、訪日外国人には6言語で案内できる」と千野氏は説明した。














